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放熱のメカニズム


 まず、1つめの解決すべきテーマとなるのが半導体デバイスで発生する熱への対策です。
対策の前提となる放熱の仕組みから見ていくことにしましょう。

安全性、信頼性、性能に発熱が悪影響を及ぼす

 電気回路の中にある「抵抗」に電流が流れると熱が発生します。
半導体デバイスも一種の抵抗と見なすことができ、電流が流れると、オン抵抗(電気を流したときの内部抵抗)に応じた熱を発生することになります。
  熱は、半導体デバイスそのものに対してはもちろん、それを組み込んだ電子機器にもさまざまな悪影響を及ぼすことがあります。中でも深刻なのが、安全性と性能、そして信頼性に対する影響です。
  安全面では、デバイスで想定以上の発熱があると、電子機器から煙が出たり、発火したりする危険が高まります。性能の面では熱によってデバイスの動作スピードが低下したり、最悪の場合、破壊につながり、動作不良に陥るケースも発生します。これほどひどくない場合でも、デバイスの故障を引き起こし、電子機器の寿命を縮めるという信頼性の低下を招くことがあります。
  こうした熱による悪影響を排除するため、半導体パッケージによる熱対策が不可欠になっています。

放熱は熱伝導、対流、ふく射の3つのルートで行われる

 熱対策を検討するうえで、まず理解しておくべき基本は、半導体デバイスが発生した熱をどのように逃がすかという、放熱のメカニズムです。
 一般に熱は、熱伝導、熱伝達(対流)、熱放射(ふく射)という3つの方法で伝わります。熱伝導とは固体内での熱の移動、熱伝達は固体から流体(液体や気体)への熱移動、そして熱放射は電磁波を放射することによる熱移動を指します。こうした放熱の様子を、プリント基板や空気などを含めた実際の使用環境に即して検討してみると、熱は熱源となるチップから図1のような流れで、最終的な熱の放出先となる空気へと伝わっていきます。

[図1:放熱経路と熱抵抗の要因]  
図1:放熱経路と熱抵抗の要因
黒い矢印 熱放射:電磁波によるステファン・ボルツマンの法則
  放射熱抵抗Rredは Rred=1/(4 ε σfATˆ 3 )
  ε:放射率
σ:ステファン・ボルツマン定数
f  : 形状ファクタ
A : 表面積
T : 加熱面と周囲の平均温度
青い矢印 対流(熱伝達):流体の移動によるニュートンの冷却の法則
  対流熱抵抗Rconvは Rconv=1/αA
 α;熱伝達率
 A;放熱面積
赤い矢印 熱伝導:分子振動によるフーリエの法則
  伝導熱抵抗Rcondは Rcond=L/λA
 L;経路の長さ
 λ;熱伝導率
 A;伝熱面積

プリント基板を介した放熱が大部分を占める

  こうした放熱のメカニズムのうち、熱放射については、パッケージの表面積が非常に大きいケースでしか効いてこないため、パッケージからの実際の放熱は、

の3つがあることが分かります(図2参照)。

 このうち、もっとも大きな放熱効果を発揮するのはプリント基板を介した経路で、計算によると、全体の8割を占めています。実際に熱流体解析を行うと、352ピンPBGAを4層基板に実装した状態で、9割がプリント基板経由、パッケージ表面からの放熱はわずかに1割という結果も出ています。

[図2:熱流の経路]
図2:熱流の経路
θja(℃/W): ジャンクションから雰囲気への熱抵抗 (junction to ambient)。パッケージ単体で使用する場合にはこの値を小さくしたい。
θjc: ジャンクションからパッケージ表面への熱抵抗 (junction to case)。チップとパッケージ表面間の材料の熱伝導率と熱伝導長、面積で決まる値。
θjb: ジャンクションからボールへの熱抵抗 (junction to ball)。チップ接着剤や基板の熱伝導率とはんだボールのレイアウトで決まる。
θbp: ボール・ランドからプリント基板表面への熱抵抗 (ball to PWB)。
 
パッケージ基板の層数と配線パターン残存率、
配線層の厚さから得られる基板の等価熱伝導率
プリント基板の等価熱伝導率=  Σ(ki x ti x Pi)
基板トータル厚さ
ki :i層の熱伝導率  ti :i層の厚さ  Pi :配線の残存率     
θca: パッケージ表面から雰囲気への熱伝達および放射抵抗 (case to ambient)。
θpa: プリント基板から雰囲気への熱伝達および放射抵抗 (PWB to ambient)。
θjs: ジャンクションからパッケージ側面への熱抵抗 (junction to side)。
θsa: パッケージ側面から雰囲気への熱抵抗 (side to ambient)。