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NECエレクトロニクスはこのたび、NECの中央研究所と共同で、従来の中央演算処理装置(CPU:Central Processing Unit)が不得意としている大量のストリームデータ処理を効率良く行うシステムLSI「クロスブリッジ (XBridge)」を開発するとともに、このLSIを搭載した評価ボードと開発ツールの試作に成功いたしました。
今回当社が開発したシステムLSIは、LSI上の素子や配線を固定的なハードウェアに括り付けるのではなく、出荷後にハードウェア構成を指定する情報を入れ替えることで擬似的に可変なハードウェアを実現する「プログラマブルハードウェア技術」を駆使して実現したもので、画像、音声、NWパケットなどの大量のストリームデータを高速に処理する、いわゆる「ストリーム処理」に最適なLSIです。構成としては「プログラマブルハードウェア」であるSTPエンジン、2チャネルのPCI Express、およびDDR2メモリインタフェースなどを1チップ上に集積したシステムLSIで、STPエンジンが並列に演算処理を行なうことにより、CPUを介すことなく従来の高性能CPUより一桁から二桁早いストリーム処理を最大2Wという低消費電力で実現いたします。
当社では今回開発したシステムLSIは、業界標準規格であるPCI Expressを装置内接続インタフェースとして採用したオフィスプリンタやサーバー、産業用機器、映像記録装置等における複雑なストリーム処理を加速したいというニーズに対応できると考えており、一年以内の製品化に向けて、技術開発を継続いたします。
近年、LSIの開発費の高騰やセット製品のライフサイクルの短縮により、個々のセット製品ごとに専用のカスタムLSIを開発する代わりに、機能を入れ替えることが可能なフレキシブルなLSIにより、1つのLSIで多品種のセットを実現するという考えが普及しはじめ、その実現のためにプログラマブルハードウェア技術が注目を集めております。現在でも、ソフトウェアの書き換えによりLSIの見かけ上の機能を変えることは可能ですが、ソフトウェア処理はハードウェア処理に対して著しく性能が落ちるため、その実用性には問題がありました。プログラマブルハードウェア技術は、このソフトウェア処理の限界を打破し、ハードウェアとしての高い処理性能を保ちながら機能の書換えを実現しようとする技術であります。
NEC中央研究所は、1999年よりプログラマブルハードウェア技術の開発を続けておりますが、当社はその研究成果をベースとしつつ、プログラマブルハードウェアの高い性能と柔軟性を必要とするアプリケーションが、画像、音声、NWパケット等の大量のストリームデータを、装置に要求されるニーズに合わせて高速に処理する、いわゆる「ストリーム処理」であることに着目し、この処理分野に向けて最適化した独自のプログラマブルハードウェア技術を「ストリーム・トランスポーズ(Stream Transpose: STP)技術」として開発活動を推進しております。
STP技術はLSIを実現するハードウェアの「STPエンジン」とSTPエンジンを使いこなすためのソフトウェアである「STPツール」から構成されております。STPエンジンはSTPツールが生成する擬似ハードウェアを多数の演算器とメモリを活用して低クロック周波数で高性能を実現するプログラマブルハードウェアコアです。並列処理実現のために演算器とメモリを二次元マトリクス状に配列した構成を有すると共に、多くのストリーム処理においてボトルネックであるデータ入出力を処理のバックグラウンドで高速に行う機構も備えています。STPツールは、C言語で入力されたソフトウェアから擬似ハードウェアを合成するコンパイル機能やデバッグ機能を有し、複雑なアルゴリズムを演算やメモリ参照を極力並列に行う形に合成することができるもので、ソフトウェア設計者が馴染みやすいGUIベースの統合開発環境となっております。本STPツールは、NEC中央研究所が長年にわたり研究開発してきたCベースのハードウェア設計技術をベースとし、ソフトウェア設計者がプログラマブルハードウェア技術を使いこなすための開発環境として、NEC中央研究所と当社が共同で開発したものであります。
ソニー株式会社はプロフェッショナル用途のビデオカメラで要求される多彩な映像・音声処理ニーズに1チップで対応することを可能にする技術として当社のSTP技術に着目し、STPエンジンを搭載したシステムLSIを開発しました。このLSIは2007年11月発売の業務用カムコーダー「PMW-EX1」、2008年7月発売の業務用カムコーダー「PMW-EX3」および業務用レコーダー「PMW-EX30」で次々に採用されております。このシステムLSIは映像・音声の信号処理や記憶媒体とのインタフェース処理などを担当する心臓部のLSIであり、「PMW-EX1」においては映像・音声ストリーム信号の多重化および分離機能、音声信号の圧縮機能等を、「PMW-EX3」「PMW-EX30」においてはこれらに加えて映像信号の圧縮機能等をSTPエンジン上で実現しています。ソニー株式会社が有するシステムノウハウと当社のSTP技術とを融合して開発を進めた結果、このように1つのLSIで複数のセットを実現できるフレキシブルな製品として結実し、高い評価を得ております。
当社はこれらの採用実績を背景に開発を進め、今回、PCI Expressを採用した各種装置において、プログラマブルハードウェアを活用して所望の処理の加速を実現できるフレキシブルなソリューションとして、STPエンジンと2チャネルのPCI Express、およびDDR2インタフェースを1チップ上に搭載したシステムLSIであるクロスブリッジ、およびその評価ボードと開発ツールを試作したものです。
当社では、今回の開発成果を2008年11月19日から21日までパシフィコ横浜で開催される「組み込み総合技術展」(ET2008)で展示いたします。また当社は、クロスブリッジの一年以内の製品化を目指すとともに、40ナノメートル世代以降においてSTPエンジンをIPコアとしたカスタムLSIの開発を推進いたします。さらに当社ではLSI製造技術の更なる微細化に伴い製品出荷後に機能を変更できるプログラマブルハードウェア技術は必須な技術となると考えており、この分野の技術開発を推進することにしております。
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