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NECエレクトロニクスはこのたび、LSI製造に整合性の優れた低温プロセスにおいて、ギガヘルツ領域で電磁場閉じ込めを効率的に行う高抵抗のフェライト酸化物磁性膜を形成することに成功しました。
今回、当社が開発したのは、酸化物フェライトの1種であるNiZnフェライトを、LSIプロセス適合性の高い300度という低温のスパッタリングプロセスにより形成する技術で、この技術をLSI上に形成されるインダクタに適用することで、ギガヘルツ帯周波数領域でインダクタンスが向上し、高周波無線用LSIの小型、高性能化を可能とします。
当社が開発した技術の特長および成果は以下の通りです。
近年、UWBなどの高周波無線に対応した機器の需要は拡大の一途をたどっておりますが、それに伴い、高帯域無線対応の高周波デバイスに対する需要も高まっております。これらのデバイスの小型化・高性能化を推進するためには、インダクタ内に効率的に電磁場を閉じ込めて信号処理することが重要であり、インダクタに低抵抗の磁性金属を組み合わせることにより性能を向上する研究が進められております。しかしながら従来の、アモルファス金属磁性薄膜では、高周波領域で渦電流損失によって効率が低下してしまうという課題があり、この課題を解決すべく、高抵抗の酸化物磁性薄膜であるフェライトを用いる研究が推進されております。しかしながら、高抵抗の酸化物磁性薄膜であるフェライトは、成膜温度が高く、LSIへの実用化は困難とされております。
今回当社は、RFマグネトロンスパッタ技術を用いて、酸化物磁性薄膜を低温で形成することに成功いたしました。RFマグネトロンスパッタ法は、高真空チャンバー内に設置された大口径のNiZnフェライト焼結体の大口径ターゲットに対して、Arイオン粒子を照射してNiZnフェライト粒子をたたき出し、ターゲットと反対側に設置したウエハ上にNiZnフェライト膜を成長させる方法です。しかしながらこのRFマグネトロンスパッタ法には、NiZnフェライトは酸素がないと容易に還元されるため酸素欠陥が膜中に導入されてしまい、抵抗化してしまう、といった解決すべき課題がありました。当社はこの課題に対し、Aガス中に適度の酸素を混ぜることで膜中への酸素欠陥導入を抑制することに成功しました。
また、NiZnフェライトを構成する原子は、LSIを構成するトランジスタの性能や信頼性を劣化させる金属を含むことから、これらの原子がトランジスタの形成されているSi基板に拡散しないように下地層(バッファー膜)の拡散耐性を高めることも必要となります。今回当社は、十分な拡散耐性、かつNiZnフェライトが磁化しやすい結晶配向性を有する下地層、すなわち、LSI配線層の拡散防止膜として使用されている窒化タンタル(TaN)がNiZnフェライトに対しても優れた拡散耐性と、磁化容易軸である(311)方向に配向したNiZnフェライトの成膜に優れていることを確認いたしました。
本NiZnフェライトをLSIオンチップインダクタ上に配置することで、従来の低抵抗アモルファス金属磁性膜と比較して、高周波領域(10GHz)で磁場閉じ込めによる高密度化が可能となり、その結果最大10%のインダクタ性能の向上をシミュレーションにより検証いたしました。
当社は、本磁性体コアを導入することにより、幅広い周波数領域でインダクタの性能向上や小型化(低コスト化)が実現できると考えております。特に、UWBやミリ波などに対応する超高周波帯域CMOS無線端末などユビキタス対応各種電子機器を構成する半導体製品の高性能化、低コスト化を推進するものであると考えており、当社では今後、早期の実用化に向けて、積極的な研究開発活動を展開してまいります。
今回の成果は、9月23日から25日までつくばで開催される「国際固体素子・材料学会(2008 International conference on Solid-state Devices and Materials (SSDM)、会期:9月23日~25日)」において、9月24日に発表しました。
ニュースリリースに掲載されている情報は、発表日現在の情報です。 その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご承知ください。