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NECエレクトロニクスではこのたび、LSIを構成するトランジスタの設計レイアウト形状に起因するオン電流、しきい値電圧等の電気的特性の変動量を高精度に予測するLSIの設計手法を開発いたしました。
レイアウト形状による特性変動要因には、隣接ゲート間距離やSTI(Shallow Trench Isolation:浅溝型素子分離)工程に起因して発生する応力(注1)があります。このたび当社が開発した新手法は、これらの要因に着目した変動予測モデルと既存のEDAツール(注2)を組み合わせることで、複雑なレイアウト形状でも電気特性変動量を高精度に予測しながらの設計を可能にするものです。
新手法は、当社独自で開発した隣接ゲート間距離に依存する特性変動モデルに、NEDO技術開発機構の委託事業としてSeleteが推進するMIRAIプロジェクト(注3)で開発されたSTI工程に起因する応力による特性変動モデルを組み合わせ、40ナノメートル(ナノは10億分の1、以下ナノ)プロセス以降の微細プロセスで適用を可能にしたものであります。これらのモデルと組み合わせるEDAツールは、回路とレイアウトとの照合・検証プログラムとして業界で広く利用されている米国メンター・グラフィックス・コーポレーション(Chairman and CEO:Walden C. Rhines、本社:米国オレゴン州)製の「Calibre®」を採用しました。Calibreが備える図形演算、数値演算のプログラム機能により、レイアウト図形から各種領域の幅や隣接領域との距離といった特性変動モデル用パラメータ群を抽出、さらにそのパラメータ群と上記モデルにより算出されるトランジスタの特性変動パラメータを含んだ回路情報が生成されます。この回路情報には個々のトランジスタ毎に標準トランジスタモデルの一部を補正するパラメータが付加されており、これを用いれば、たとえ複雑なレイアウト形状であっても、トランジスタの電気特性変動量を高精度に予測することが可能となります。
従来はこのようなトランジスタの特性変動を吸収するため、オン電流やしきい値電圧などの重要な電気的特性については、予め幅広い設計マージンを確保しておく手法がとられておりました。しかしながら近年では、プロセスの微細化に伴い、設計マージンを幅広くとると、チップサイズの拡大によるコスト増という解決すべき課題が起きておりました。今後は、今回開発した新しい設計手法を用いることにより、慣れ親しんだ従来の設計手順を変えることなく、トランジスタ自身およびその周辺部レイアウトの特性への影響度を反映した回路特性情報が得られるため、LSI設計時における設計マージンを最小限に抑え、LSIの性能を最大20%程度高めることが可能になります。また、高歩留まり(注4)なLSI製造の実現に貢献できるようになります。
当社では、この設計手法を2008年度末までに量産を開始する40ナノ製品の設計環境に標準的に適用して、高集積・高性能なLSI開発を推進してまいります。また引き続きMIRAIプロジェクトでの開発成果を順次組み込み、40ナノ以降のLSIで顕在化するその他の特性変動要因に関してもより一層高い精度でのLSI開発を実現していく所存です。
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