世界初、Low-k/Cuダイレクトコンタクト配線構造の形成技術を開発
〜コンタクト抵抗を75%、寄生容量を7%低減し、先端LSIの性能向上を実現〜
2008年6月19日 NECエレクトロニクス株式会社
NECエレクトロニクスはこのたび、NECと共同で、45ナノメートル世代以降のCMOSデバイスに向けて、多層配線とトランジスタとを接続するコンタクト部の抵抗および寄生容量を低減することで、LSIの高性能化を実現する(1)絶縁膜に銅(Cu)拡散バリア性および優れた段差被覆性を有する独自の低誘電率シリカ炭素複合膜をLow−k材として採用した2層構造Low−k絶縁膜形成技術、(2)Low−k膜表面を平坦化するCMP技術、およびこれらを駆使することにより、(3)「Low−k/Cuダイレクトコンタクト配線」構造を世界に先駆けて開発いたしました。その結果、従来一般的に用いられていたコンタクト構造に対して、新構造はコンタクト抵抗を75%および寄生容量を7%低減させるとともに、CMOSデバイスの信頼性を劣化させることなく動作速度を向上させることを実現いたしました。
このたび開発した2層構造Low−k絶縁膜形成技術、Low−k膜表面を平坦化するCMP技術、およびこれらを駆使することにより形成されたLow−k/Cuダイレクトコンタクト配線構造の特長は、以下の通りです。 |
(1) |
CMOSデバイスを覆う絶縁膜として、従来一般的に用いられているシリカ膜(SiO2、k=4.1)を、段差被覆性に優れかつCu拡散防止能力を有する独自の低誘電率シリカ炭素複合膜(SCC、k=3.1)および成長速度の速い有機シリカ膜(SiOCH、k=3.1)の2種類の材料へ置き換え、2層構造Low−k絶縁膜を形成する技術を開発。低誘電率シリカ炭素複合膜でトランジスタのゲート間の空乏を埋設した後、有機シリカ膜を高速成長させて完全埋設を実現している。
また、2層構造Low−k膜の導入により絶縁膜の薄膜化が可能となるため、コンタクトホールのアスペクト比(縦横比)を3以下にまで低減させている。その結果、既存のCu配線製造設備を用いて、コンタクトホールと配線溝からなるデュアルダマシン構造へのCu膜の一括埋設を可能としている。 |
(2) |
2層構造Low−k膜表面を完全に平坦化する新しいCMPプロセスを開発。下地CMOSデバイスの形状を反映したLow−k膜表面に通常存在する数百ナノメートル(以下、nm)レベルの段差を数十nmレベルまで平坦化させることにより、Low−k 絶縁膜への最先端液浸ArFフォトリソグラフィーを使用した微細パターニングを可能にしている。 |
(3) |
(1)(2)の技術により、2層構造Low−k膜で形成されたLow−k/Cuダイレクトコンタクト配線は、従来一般的に用いられている、シリカを材料とする絶縁膜へ高抵抗タングステン材のコンタクトとCu配線を埋め込んだ構造と比べて、コンタクト抵抗を75%も低減させている。また。寄生容量も7%低減させ、CMOSデバイスのNBTI(注1)やTDDB(注2)など信頼性を劣化させることなく、動作速度を7%向上させている。 |
近年、LSIのプロセス微細化に伴い、寄生成分(抵抗・容量)の大幅な増加による損失の影響が顕著になることが想定されており、この損失を小さくすることが非常に重要な課題となっております。その解決に向けて、従来、コンタクトの埋設材料には、埋設性と耐熱性に優れるタングステンを熱CVD法により形成するのが一般的でした。しかしながら熱CVD法は400℃以上の高温を必要とするため、コンタクト層間絶縁膜へのLow−k材は耐熱性の観点から見送られてきました。また、コンタクトの低抵抗化を目的として、Cu材料導入に関して研究機関や企業が検討を行ってまいりましたが、高アスペクトコンタクトの埋設には高価な新規設備の購入が必要であったり、Cu拡散によるCMOSデバイスの信頼性劣化の懸念がありました。これらの課題により、コンタクトと配線溝を一括埋設するデュアルダマシン構造へのLow−k材料およびCu材料の導入はこれまで実現しておりません。
このたび開発した新構造コンタクト配線技術の採用によるコンタクト抵抗や寄生容量の低減によって、UWBやミリ波などに対応する超高周波帯域CMOS無線端末や、DRAM混載LSIやマルチコアを採用した各種電子機器の高性能化を推進することが可能となります。当社は今後も、早期の実用化を目指して、積極的な研究開発活動を展開してまいります。
今回の成果は、6月17日から20日まで米国ホノルルで開催される「VLSIシンポジウム2008(2008 Symposium on VLSI Technology)」において、6月18日に発表いたしました。
以上
(注1)NBTI
Negative Bias Temperature Instabilityの略。PMOSトランジスタのゲートに負のバイアスを印加することで、p型トランジスタのしきい値電圧の絶対値が次第に大きくなっていく現象。
(注2)TDDB
Time Dependent Dielectric Breakdownの略。絶縁膜に高電界を印加した状態で保持すると、時間経過とともに破壊が起こる現象。ゲート絶縁膜に不純物金属で汚染されるとTDDBが劣化することが知られている。
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