次世代低消費電力システムLSI向けメタルゲート技術を開発
〜既存の材料と設備で3種類のトランジスタ形成を実現〜
2008年6月17日 NECエレクトロニクス株式会社
NECエレクトロニクスとNECはこのたび、次世代LSIの低消費電力化を低コストで実現する技術を開発いたしました。新技術は、ゲート電極の材料をニッケルダイシリサイド(NiSi2)へ置き換えるメタルゲート構造を採用することにより、トランジスタの閾値電圧を制御する技術です。従来の材料と製造設備により、ロジック部を構成する閾値電圧の低いトランジスタ2種類およびメモリ部等を構成する閾値電圧の高いトランジスタ1種類、計3種類のトランジスタを形成することが可能になります。
このたび開発された技術の特長および成果は以下の通りです。 |
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メタルゲートとしてニッケルダイシリサイド(NiSi2)を使うことにより、ゲート電極と絶縁膜界面の不純物によるトランジスタの閾値電圧を広い範囲で制御可能であることを見出した。 |
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ゲート電極と絶縁膜界面における異種不純物の偏析を利用することで、ロジック部を構成する閾値電圧の低いトランジスタ2種類およびメモリ部等を構成する閾値電圧の高いトランジスタ1種類を同一のゲート電極および絶縁膜で形成することに成功した。 |
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これらの新技術により、ゲート電極の空乏化問題が解消されるため、トランジスタの効率的なスイッチング動作が可能になる。一例として、SRAM動作時の消費電力は従来のシリコン電極と比べて30%低減できることを実証した。また、待機時の消費電力に重要なゲートリーク電流は1/100に低減可能であることを確認した。さらに、ゲート電極および絶縁膜の材料は従来使用されてきた材料と同一であるため製造容易性を確保しているとともに、新たな設備や複雑な製造工程が不要となるため製造コストの低減が可能となる。 |
近年、いつでもどこでもネットワークにアクセスできるユビキタス化の進展に伴い、携帯電話、デジタル家電、携帯音楽プレーヤー、カーナビなどの各種電子機器は多機能化が進み、市場には続々と新製品が投入されております。これらの機器に搭載されるLSIには、多機能化に伴い、さらなる低消費電力化・高機能化を低コストで実現することが求められております。
従来、LSIの低消費電力化は個々のトランジスタのサイズを比例縮小することで高機能化と同時に進展してきました。低消費電力化は従来、特にゲート長の低減およびゲート絶縁膜の薄膜化の効果に依存しており、微細化が進んだ現在では、これまでのゲート材料のポリシリコンではゲート空乏化などのゲート絶縁膜薄膜化を阻害する要因が無視できなくなってきております。そのため、スイッチング動作を低消費電力で行うには、空乏化が起きないよう、トランジスタのゲート材料に金属を用いたメタルゲート電極の実現が強く期待されております。しかし、このメタルゲート構造はトランジスタの閾値電圧を所望の値に調整するのが特に難しく、従来はCMOSを構成するn型とp型のそれぞれのトランジスタに別々の金属材料を用いる手法がとられてきたため、新規材料の導入や作り分けによる製造工程の変更が必要になり、製造コストの高騰に繋がっておりました。
また、特にDRAMやSRAMのような大容量高速メモリとロジック回路を1チップに混載したLSIを実現する場合では、ロジック用に低い閾値電圧をもつn型とp型の2種類のトランジスタのみならず、メモリセル用の高い閾値電圧を持つ低リーク性を重視したトランジスタも同時に必要となり、これら3種類のトランジスタ全てに最適なメタルゲート電極を同時に実現する報告例はありませんでした。
新技術は、低消費電力LSIを低コストで実現するというこれらの要望に応えるとともに、一種類の、しかも従来使用されてきたシリコンプロセスと親和性の高い金属材料で3種類の閾値を持つトランジスタを、同一ウェハ上に製造容易性を確保しながら実現するものです。新技術を用いて試作されたSRAMは、ポリシリコンゲートを使った場合に比べて30%の低消費電力動作が可能であると同時に、ゲートリーク電流も1/100に低減できるため、待機電力の削減にも有効です。
NECエレクトロニクスとNECは今後とも、ユビキタス社会の実現に不可欠な高機能・低消費電力なLSIを低コストで製品化するための研究開発を積極的に推進する所存です。
なお両社は今回の成果を、6月17日から20日まで米国ホノルルで開催される「VLSIシンポジウム2008(2008 Symposium on VLSI Technology)」において6月17日に発表いたします。
以上
ニュースリリースに掲載されている情報は、発表日現在の情報です。
その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご承知ください。
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