超高信頼・低抵抗Cu配線を実現する新ルテニウムバリア構造を開発
2008年6月4日 NECエレクトロニクス株式会社
NECエレクトロニクスはこのたび、NECの中央研究所と共同で、32nm世代以降の最先端LSIや車載用途などの高い信頼性が必要とされるLSIに向けて、銅(Cu)膜との結晶整合性と密着性に優れた新ルテニウム(Ru)バリア構造を開発し、多層配線の低抵抗化と高信頼化の両立に成功いたしました。この技術の適用により、従来から用いられてきたタンタル/窒化タンタル積層(Ta/TaN)バリア構造と比較して、ビア抵抗の70%低減と信頼性の大幅な改善を確認しました。
このたび当社が開発した新ルテニウムバリア構造の主な特長は、以下の通りです。 |
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チタン(Ti)ライナー膜上にRu膜を成長させたRu/Ti積層バリア構造を開発。Ru膜中の粒界にTiを拡散させることで、Cu拡散バリア膜として優れた性質を保有することを見出した。 |
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Cuとの結晶整合性に優れたRuバリア適用により、電子の界面散乱抑制とCu結晶性高品質化の両立により、45nm相当の70nm配線幅に対して配線抵抗の12%低減を実現した。 |
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バルク抵抗率の小さなRuをバリア層として使用することで、ビア抵抗率の70%削減を実現した。(Ru:20mΩ・cm、TaN:240mΩ・cm) |
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新ルテニウムバリア構造において最下層にあるTiを、ビア底から下層の銅配線中に微量拡散させることにより、ビア近傍のCu原子のエレクトロマイグレーション(注、以下EM)の抑制を実現。これにより、EM寿命を従来比35倍改善した低抵抗・超高信頼のCu配線を実現した。 |
最先端LSIデバイスの微細化にともない、Cu配線抵抗やコンタクト抵抗が急増するとともに、信頼性が劣化するという技術課題を克服するため、その本質的な要因であるCuとの結晶整合性に優れる低抵抗バリア膜の開発を行いました。
従来、バリアとして採用されていたTa/TaN膜は優れたCu拡散バリア性を有する一方、高抵抗でありCu膜との結晶構造整合性が低いため、配線内のCu膜には高欠陥密度の結晶粒界が混在しておりました。そのため当社はCu膜との結晶整合性に優れかつ低抵抗なRu膜をバリアに採用する手法を研究してまいりましたが、Ru膜はCu拡散バリア性がないため、高抵抗のTaNバリア膜の上へ積層成長させることでCu拡散を防ぐという手法での検討を進めてまいりました。この構造では、TaNだけがバリア膜としての機能を有するため、高抵抗層であるTaNの薄膜化が難しく、実用性に乏しいという問題がありました。
このたび開発した新ルテニウムバリア構造は、TaN膜を採用することなく、Cu結晶性の制御とビア底のCu原子のEMを選択的に抑制することにより、Cu配線の低抵抗・高信頼性を実現させるものです。すなわち、Tiライナー膜上にRu膜を成長させたRu/Ti積層バリアでは、TiがRu膜中の粒界に拡散させることで、Ru層そのものがバリア性を有するように構造を制御しました。これにより、不要な高抵抗層を削減することができ、ビア抵抗を大幅に低減できました。また、本Ti膜はビア部分のCuに直接成膜されるため、下層配線Cuの粒界に微量に拡散し、ビア付近のCu原子の拡散を抑制する効果を引き出します。これにより、EM耐性も向上することを確認しました。
当社は今後、32nm世代以降の最先端LSIのみならず、車載用途などの高い信頼性が必要とされるLSIに向け、早期の実用化を目指して積極的な研究開発活動を展開してまいります。
なお当社は、今回の成果を、米国サンフランシスコで開催される「国際配線技術会議(IITC 2008:International Interconnect Technology Conference、会期:6月2日〜6月4日)」において、6月4日に発表します。
以上
注:EM(エレクトロマイグレーション)
銅原子と電子の衝突で銅原子が電子の流れる方向に拡散し、その結果ボイドが形成され断線不良にいたる現象。ビア径が小さくなるに従って、ビアに流れる電子流の密度が大きくなり、ビア底の銅原子の拡散によるビア底断線不良が顕著となる。EM寿命の改善には、ビア底の銅原子拡散を抑制することが重要となる。
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