マルチコア技術を導入した業界最高性能のカーナビ用システムLSIを発売
〜「ナビエンジン」でカーナビ市場へ本格参入〜
2007年10月2日 NECエレクトロニクス株式会社
NECエレクトロニクスはこのたび、マルチコア技術を採用した業界最高性能のカーナビゲーション(以下、カーナビ)向けシステムLSIを製品化し、「NaviEngine® (ナビエンジン®)」の名称で、本日からサンプル出荷を開始いたしました。当社はナビエンジンでカーナビ市場に本格参入いたします。
新製品は、人工衛星などを利用して自動車の現在位置や走行方向などの情報を表示し、運転者を目的地点へ導くカーナビ機能を1チップ上で実現するシステムLSIで、(1)英国ARM社(CEO:ウォレン・イースト氏、本社:英国ケンブリッジ市、以下ARM)のSMP技術(注1)に基づく高速CPUコアを4個搭載し、並列処理により1920MIPS(注2)(400MHz動作時)という超高速処理を実現していること、(2)組込み分野向けのグラフィクス描画コア開発大手の英国イマジネーション・テクノロジーズ社(社長:ホセイン・ヤッサイ氏、本社:英国キングスラングレー市、以下イマジネーション)が開発したグラフィクスIPコア「SGX535」の採用により、2次元/3次元画像描画が可能となっていること、(3)カーナビ向けシステムLSIとしては世界で初めてシリアルATAを内蔵していることに加えカーナビに必要な様々な機能を搭載していること、などが大きな特長となっております。
新製品のサンプル価格は9,000円/個であり、2009年3月より量産を開始し、月産6万個までの増産を計画しております。
当社は、新製品に採用された技術を「ナビエンジンアーキテクチャ」として、今後はこの技術を下方および上方展開し、普及品から多機能、高性能品を必要に応じ市場投入いたします。そして、ナビエンジンを当社の代表的なASSP製品のひとつとして育成することにしております。また、当社は、ナビエンジンアーキテクチャ製品などのカーナビ向け半導体の売上として2015年には300億円を目指します。
当社は車載向け半導体事業を注力分野のひとつと位置づけ、フラッシュマイコンやパワー半導体などの製品分野で積極的な事業活動を展開しております。なかでもマイコンにおいては、汎用用途のKシリーズ、ボディ制御に最適なFシリーズ、カーオーディオに適したSシリーズ、ダッシュボード向けDシリーズ、およびエアバッグシステムに最適なRシリーズと5つのシリーズで、自動車の基本機能である「走る、曲がる、止まる」の機能から、オーディオにいたる幅広い分野で製品を提供するとともに、NEC九州と米国ローズビル工場における2極生産体制の確立、ヨーロッパテクノロジセンターなど世界各地の設計拠点の設立など、業界のリーダーとして活動を推進してまいりました。また当社は、マイコンやパワー半導体以外の分野においても、2006年8月、次世代の自動車システムに向けた製品として、自動車走行の安全、安心を追及するための画像認識用並列プロセッサ「IMAPCAR®(アイマップカー)(注3)」をいち早く市場投入しており、ユーザーから製品技術と信頼性を高く評価されております。
最近、マイコンなどのロジック半導体においては、高性能と低消費電力を両立できる次世代の技術としてCPUを1チップ上に複数個搭載して並列処理を行わせるマルチコア技術が注目を浴びています。このような状況のもと当社は、特に高機能なカーナビ製品には今後、単純な交通経路案内に留まらず障害を検知し危険を警告するなどの運転支援機能および自動運転などの統合制御機能も搭載されると考え、マルチコア技術を将来に渡りユーザーニーズに応えるための最適な手法と位置づけ、新製品の開発活動を進めてまいりましたが、このたび、ナビエンジン第一弾製品の開発が完了し、本格的に市場に参入することにしたものです。
新製品の主な特長は次の通りです。
1.マルチコア技術の導入による業界最高性能を実現
ARMと共同開発した480MIPS(400MHz動作時)の性能を持つARM11TMコアを4個内蔵したMPCoreTMを搭載し、カーナビ・システムとしては世界で初めてとなるSMP型の並列処理を行うことで、最高1920MIPSという超高速処理を車載機器として組込み可能な低消費電力で実現。これにより、交通経路位置案内、ワンセグ放送受信、道路状況などの画像認識といった複数の機能を同時に実行できる。
2.卓越した2次元/3次元画像の再生が可能
イマジネーションが開発した高性能グラフィクスIPコア「SGX535」を採用することで、従来品の約3倍となる最大15メガポリゴン/秒という組込みシステムでは最高の描画性能の実現および画素単位の演算により1チップで2次元、2.5次元(鳥瞰図)、および3次元描画をあわせて実現する。
3.大容量の地図データ処理が可能
カーナビ向けシステムLSIとしては世界初のシリアルATAを内蔵しているため、大容量の地図データへ高速にアクセスできる。また、カーナビ向けに特化した複数レイヤの表示面を合成可能なLCDコントローラを内蔵しているため、なめらかな地図のスクロールと使いやすいユーザーインタフェースを表現できる。
4.パートナーとの連携による開発環境の整備
カーナビのソフトウェアを開発する環境として、評価ボード、インサーキット・エミュレータ、デバッガ、ミドルウェア、ならびにOSの開発について多くのパートナー企業と連携を図っている。一例として、OSはイーソル株式会社(本社:東京都中野区、社長:澤田 勉氏、以下イーソル)製のT-Kernel「eT-Kernel Multi-Core Edition」においてナビエンジンのマルチコア技術に標準で対応する。これにより、ユーザーはマルチコアの利点を生かしたソフトウェアの開発をすぐに始めることが可能になるとともに、パートナー企業が提供する豊富なミドルウェアが利用可能であるため、アプリケーションソフト開発のコストを低減することができる。
当社は、ナビエンジンを今後の自動車向け半導体事業を牽引する製品のひとつと考えており、これらの製品を必要とする応用分野に向けて積極的な販売活動を展開する所存です。
新製品の仕様およびARM、イマジネーション、イーソルの会社概要は、別紙をご参照ください。
以上
(注1) |
SMP技術
SMP(Symmetrical Multi Processor:対称型マルチプロセッサ)とは、OSなどの処理により、アプリケーション・プログラムがマルチコアであることを意識することなく、動作を可能とする技術。特に、ARMが開発したマルチコア技術は複数のARMプロセッサをベースとしたCPUが同等の立場で処理を分担する際の効率改善のための技術に対応する。
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(注2) |
MIPS
1MIPSは、1秒間に100万回の命令を処理する能力。
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(注3) |
IMAPCAR
Integrated Memory Array Processor for Carの略。全ての演算ユニットの一つひとつにメモリを配列した並列プロセッサであり、構造上からIMAPと称している。
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(備考) |
ARM11およびMPCoreはEUおよび他国におけるARM Limitedの商標です。NaviEngine、ナビエンジン、IMAPCARはNECエレクトロニクス株式会社の日本における登録商標です。その他、本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。
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