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メタルゲート電極とHigh−Kゲート絶縁膜を組み合わせた新たなトランジスタを開発
〜システムLSIの大幅な低消費電力化を実現可能に〜


2004年12月17日

日本電気株式会社
NECエレクトロニクス株式会社


NECとNECエレクトロニクスはこのたび、将来のシステムLSIのさらなる低消費電力化に向けて、ハフニウム(Hf)系High−Kゲート絶縁膜(注1)とメタルゲート電極(注2)を組み合わせた新たなゲート構造を開発し、ゲートリーク電流を低く抑えつつトランジスタの高速性能を向上させました。

このたびの開発の概要は以下の通りです
(1) ゲート電極の材料に従来の多結晶シリコンに替えてNiシリサイドを採用することで、High−Kゲート絶縁膜の持つ優れた低リーク性を維持しつつ、トランジスタの電流駆動能力(ゲート反転容量)を約2割向上(多結晶シリコン/High−K絶縁膜積層構造との対比)。同等の動作電流でのゲートリーク電流を、多結晶シリコン/High−K膜構造に比べて約2桁、多結晶シリコン/酸化シリコン膜構造に比べ約5桁低減。
(2) Hf系High−Kゲート絶縁膜との組み合わせに適したメタルゲート電極として、簡便な製造プロセスを用いながらも広い範囲でトランジスタ閾値電圧を制御できる新たな材料技術(組成制御Niシリサイド技術)を開発し、NMOS・PMOSトランジスタ双方に好適なスイッチング特性を実現。
(3) ゲートリーク抑制効果のほか、電流遮断特性(サブスレッシュホールド特性)やキャリア移動度などのデバイス指標も良好であることを確認し、将来の45nmノード(ハーフピッチ65nm)における低待機電力、低動作電力のトランジスタの実現可能性を確認。

本技術により作成したトランジスタは、45nmノード(ハーフピッチ65nm)低電力CMOSのゲート部に求められる目標性能を凌駕するもので、LSIの今後の継続的な低消費電力化を実現し、将来のモバイル端末やデジタル情報家電機器向けLSIの実現に大きく貢献します。

LSIのさらなる高速化・低消費電力化を実現するため、継続的に半導体微細加工技術の開発が進められています。トランジスタのゲート絶縁膜は、微細化の進展に伴って薄膜化しますが、これまでゲート絶縁膜として用いられてきたSiO2は膜厚が2nm以下になると、トンネル効果によるリーク電流が急増してトランジスタの消費電力が増大するとういう問題がありました。この問題を解決するため、現在世界中でHigh−Kゲート絶縁膜の技術開発が進められています。NECでも、これまでにHfSiON膜を用いたトランジスタの研究を進め、CMOS回路の性能実証と製品適用のための信頼性技術の構築により、実用化に目途をつけています。
しかし、今後さらにLSIの高性能化と低電力化を継続していく上では、ゲート電極に用いてきた多結晶シリコンの僅かな表面空乏化に起因する電流駆動力の低下が無視できなくなります。このため、ゲート電極の材料に金属材料を用いるメタルゲート技術に関しても世界各所で開発が活発化していますが、(1)Hf系High−K絶縁膜に対して製造が比較的容易なフルシリサイド化技術(注3)を適用するとNMOS・PMOSに対するトランジスタの閾値電圧が共に大きくなってしまい、充分な動作電流が得られない、(2)閾値電圧制御のためにNMOS・PMOS用にそれぞれ異なる材料の金属電極を形成すると製造プロセスやデバイス構造が非常に複雑かつ高コストになってしまう、といった課題がありました。

このたびの開発は、Niシリサイド電極とHfSiON絶縁膜を用いることで多結晶シリコン電極の空乏化を回避し、低リーク性と高速性を一層改善したゲートスタックを実現したものです。とくに、フルシリサイド化という簡便な製造法を用いつつ、NiとSiの組成比が異なるNiシリサイド電極をNMOS用・PMOS用それぞれに作り分けることで、双方に対して適切なトランジスタ閾値電圧を実現する技術(組成制御Niシリサイド技術)を開発し、上記の技術課題を克服しました。

本技術を用いれば、今後一層の高性能化が期待される携帯電話やデジタル情報家電機器等に対して、消費電力を抑えつつ高速処理が可能な最先端SoCを実現できます。NECでは今後、本技術の早期製品化を目指して研究開発を推進し、ユビキタス社会の進展を担っていきます。

なお、今回の成果は、12月13日から15日まで、米国サンフランシスコで開催される国際学会「2004 IEEE International Electron Device Meeting (IEDM2004) 」で、13日に発表します。


以上

注1: High−Kゲート絶縁膜とは、シリコン酸化膜より誘電率の高い絶縁膜であり、高誘電率ゲート絶縁膜とも言う。誘電率が高い絶縁膜を用いることで、リーク電流の小さい厚い絶縁膜厚(物理膜厚)で、薄い酸化膜と同等の電気的換算膜厚が実現可能。NECは信頼性に優れたHfSiON膜を中心に開発しています。
注2: メタルゲート電極とは、金属もしくは金属的な導電性を持つ化合物を用いたゲート電極のことである。現在のLSIのゲート電極には不純物を添加した多結晶シリコンが用いられているが、この材料は半導体であるためゲート電極表面が僅かに空乏化し、トランジスタの電流駆動力を低下させる原因となる。メタルゲートを用いればこのゲート空乏化をなくすことが可能であるため、将来の高性能LSIに必須の技術と考えられている。
注3: シリサイドゲート電極を形成する方法。ゲート電極として金属を堆積する代わりに、多結晶シリコンを堆積・加工した後に、上部から金属を拡散させてゲート絶縁膜界面まで全領域でシリサイド化反応を起こさせる製法。他のメタルゲート技術に比較して、既存のLSI製造工程との親和性が非常に高いことが特徴。


<この発表に関するお客さまからの問い合わせ先>

NEC 研究企画部 企画戦略グループ

https://www.nec.co.jp/r_and_d/ja/cl/contact.html

NECエレクトロニクス 先端デバイス開発事業部

電話:(042)779−6136(直通)


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