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NECエレクトロニクスの32ビット・マイコンV850は、自動車やインバータ家電、デジタルAVなどの分野に採用されており、高いシェアを獲得しています。そのV850に新たな製品ラインナップが発売されました。パソコンやサーバをはじめとして多くのネットワーク接続に使われている、イーサネット機能を内蔵した32ビットAll Flashマイコン「V850ES/Jx3-E」です。この製品の最大の特長は今まで外付けだったイーサネット・コントローラを内蔵していること。主なターゲットは、今後イーサネットの導入が見込まれる産業機器やOA機器、ビル・工場の管理システムです。
従来、工場の産業(Factory Automation=FA)機器は、独自のネットワーク方式で接続していました。より複雑で大規模なものになってくると、メンテナンスの難しさやコストの増大が問題になります。これらの問題を解決する1つとしてイーサネットが注目されています。従来のシリアル通信(RS232C)より通信速度が速く、多くのデータを送信できるイーサネットは、世界中のオフィスや家庭で最も使用されているコンピュータ・ネットワークの規格です。FA機器にも適用範囲を拡大することでネットワーク構築が容易に低コストで実現できます。またFA機器をパソコンやサーバに接続することで、機器の遠隔操作や運行状況、機器の故障、メンテナンスなどの管理が可能となり、生産の効率化を図ることができます(図1)。
次にOA機器の代表例としてプロジェクタを紹介します。イーサネット機能が搭載されることで入力信号の選択、画質調整、ランプ出力調整などがパソコン上で行うことができ、ランプ交換時期やエラー情報などのメッセージがメールで通知できるようになります。さらに複数のプロジェクタを1台のコンピュータで操作、管理でき、プロジェクタにデータを転送することが可能です。これによって、手の届かない場所でも楽々操作、管理できて、しかも突然ランプ切れといった心配もなくなるため、非常に便利です。
またビルや工場での電気、ガス、水道などの使用量や料金実績もイーサネットによりネットワーク管理が可能になります。特に電気メータの管理は、エコの観点から工場やビルでの電力エネルギーの使用状況をきめ細かく把握して省エネを実現するニーズが高まっています。エネルギー管理だけでなくイーサネットにより、遠隔地のビルや工場の統合監視や管理システムの構築が比較的低コストで容易に実現できます。
そのほかPOSシステムや自動販売機、アミューズメント機器の課金管理などイーサネットの活躍分野はますます広がっています。
イーサネットの利用範囲が広がるにつれて、ネットワークを制御する電子部品も小型化、低コスト、使いやすさが求められています。
32ビットAll Flashマイコン「V850ES/Jx3-E」の最大の特長であるマイコンに内蔵されたイーサネット・コントローラは、IEEE802.3に準拠したイーサネットMAC(10/100Base-T)を1チャンネル搭載。従来必要だった外付けのコントローラが不要です。またCPUは50MHz動作時で103MIPSと処理スピードは高性能。さらにメモリも最大512KBのフラッシュ・メモリと最大124KBのRAMを搭載しており、内蔵メモリだけでネットワークやシステムの制御が充分に行えます。このほかUSB2.0フルスピードのファンクション・コントローラ、CANインタフェース、モータ制御タイマ、リアルタイム・カウンタなど周辺機能も豊富に内蔵。これらの機能を1つのマイコンに内蔵したことで、システムの部品点数の削減による小型化、低コスト化が可能となるためセット開発者には朗報です(図2)。
開発環境は、パートナであるテセラテクノロジーからスタータ・キット(TK-850/JH3E+NET)が発売予定。評価ボード上にイーサネットをはじめUSBやCANのコネクタを設けており、無償のTCP/IPプロトコル・スタックもスタータ・キットに同梱されるので*1、はじめてイーサネットを扱う開発者も安心して始められます(図3)。
今後、イーサネットMACに加えてPHY内蔵マイコンも開発を計画しており、ラインナップも拡充される予定。V850からますます目が離せません。
注釈(*)
V850は、32ビットMCUで2008年の売上高シェアNo.1*です。
詳しくはこちら
* 2008年32-bit MCU、売上高シェア
出典:ガートナー“Semiconductor Industry Worldwide Annual Market Share: Database”2009年4月2日