真空管
電球を発明したエジソンは当時は直流だった白熱電球の研究中に、中で加熱した金属から、もう一方の電極にプラスの電圧をかけた時だけ電流が流れる「エジソン効果」を発見しましたが、その原理を真空管として実用化したのはフレミングでした。
当時の通信機材
1920年、アメリカで正式なラジオ放送局「KDKA」が放送開始しました。
真空管は電源を入れて温まるまで数秒〜20秒かかり、ラジオのスイッチを入れてもすぐにはラジオ放送を聴くことができませんでした。
真空管の基本動作原理
真空管はその機能に交流から直流を得る整流作用や、高周波に含まれる音声信号をとりだす検波作用、そして電流の増幅作用などをもっていました。
半導体の性質をもつ方鉛鉱
方鉛鉱は、鉛を主成分とし電気を通しにくい性質ですが半導体の整流効果(電流を一方にだけ良く通す性質)をもつことが発見されました。初期のラジオ受信機では、方鉛鉱の結晶の表面に細い金属線をわずかに接触させたものが用いられました。
トランジスタ
1948年に米国ベル研究所で発見され、ショックレー、ブラッテン、バーディーンの3人はノーベル賞を受賞しました。その後50年あまりの間に驚異的な進化を遂げ、最先端のLSIは、1個のチップの中に数億個のトランジスタが集積されています。
集積回路
チップ自体の驚異的な集積度向上は勿論ですが、ウェハの薄化加工技術とパッケージ積層技術の進化により半導体チップの中は多層化し、複数のLSIをひとつのパッケージに搭載した超高密度スタック型のICに進化しています。
シリコンの原子構造図
シリコンは、電子を14個持ち、他の元素と結合する際に4本の結合する手を持つ非常に安定した構造の物質です。しかも、地殻中に約27%も存在するありふれた元素であり、コストも安く、手に入れることも容易です。
フラーレン
1984年、米国のリチャード・スモーリー教授とスタッフはサッカーボール型の炭素分子を発見し「フラーレン」と名づけました。このフラーレンはその後の研究で超伝導を引き起こすことがわかり超伝導材料の候補として注目されました。
カーボンナノチューブ
カーボンナノチューブは、1991年にNEC基礎研究所の飯島澄男氏が発見しました。螺旋型、ジグザグ型、アームチェア型などの構造の違いで金属ような特性や半導体のような特性を持ち、これからのコンピュータ素子として大きな可能性を秘めています。
20世紀に入ると電信電話網やラジオ、テレビ放送などの発展を通して、電子回路が非常に重要な地位を占めるようになりました。電子回路はコイルや、抵抗、コンデンサなどいくつかの部品によって構成されていますが、なかでも中心的役割を果たしていたのが真空管です。真空管は2つの重要な機能を担っていました。それは、交流を直流に変えることができる整流機能と、電圧のわずかな変化で大きな電流を引き出す増幅機能です。
真空管は真空にしたガラス容器の中で、熱したフィラメントで放出させた電子を制御することで、この機能を実現していました。
当初は真空技術が未成熟だったこともあり、品質がよくありませんでしたが、第一次世界大戦の頃には実用的なレベルに達し、それとともに電子回路の中で真空管は重要な位置を占めるようになりました。
このたいへん便利な真空管にも1つだけ大きな欠点がありました。その真空管の欠点とは、寿命が短いということでした。
熱するため、使っているうちにどうしてもフィラメントが焼き切れてしまうのです。そのため、真空管は働かなくなり、かなり頻繁に新品と交換する必要がありました。
つまり、真空管は非常にデリケートな電子部品だったのです。特に、通信機などに代表されるように、戦争などの過酷な環境でも使える電子機器が要求される状況になってきてからは、真空管の不安定さは困った問題になってきたのでした。
そのため、壊れない、寿命が長い、安定した性能をもつ固体素子への要求が次第に高まってきました。そして、その候補としてまっさきにあがったのが半導体でした。
この半導体を使って固体素子をつくろうと早い時期から熱心に研究していたのがベル研究所です。
第二次世界大戦の前後、ベル研究所では全米から固体物理学のえりすぐりの研究者を招聘して、半導体の研究にあたっていました。ベル研究所の目標はゲルマニウムで真空管の担っていた増幅機能を持つ素子を作ることでした。
1947年12月23日、ベル研究所のショックレーとブラッテンとバーディーンはゲルマニウム結晶を使った増幅器の試作に成功しました。彼らはこれを「トランジスタ」と命名しました。これは、ゲルマニウム内部を通過して成立する2つの回路の一方から他方の抵抗を変えるという意味で「トランス-レジスタ」を縮めて命名された造語なのです。
この最初のトランジスタは、きわめてデリケートで生産には向きませんでしたが、後にショックレーが理論化した接合型トランジスタは広く使われました。そしてこのトランジスタは、真空管とは異なる恩恵を私たちにもたらすことになったのです。
電子回路に半導体のような固体素子を利用できるようになったことで、実はテクノロジーの進歩に大きな変化が起こりました。それは集積化の恩恵というべきものでした。
つまり、実用化されている半導体や、現在研究中の量子コンピュータのように、物質の特性を利用して、物質の原子構造や電子のふるまいそのものを電子部品として利用できるようになったのです。このため、微細加工技術の進歩に沿うように電子部品をいくらでも小さくすることが可能になったのです。20世紀後半の半導体産業発展の歴史は、したがって微細加工技術進展の歴史でもあります。そして、ついにナノの世界が見えてきました。
ベル研によるトランジスタの発見から、58年を経過した今日、微細加工技術の進歩は、今まで想像もしなかった分野への扉を開けつつあります。ナノは10億分の1メートルの世界であり、分子のスケールなのです。半導体の微細加工プロセスは、現状で90ナノメートルが実用化され、ついにナノの世界に足を踏み入れています。そうなれば、必然的に分子、原子を加工する技術に手を染めることになります。この世界では、分子構造のほんのわずかな違いが物質の性質を全く違ったものにするので、半導体だけではなく、他の物質が新しい素材として注目され、それを中心にして新たな技術革新が生まれる可能性も否定できません。事実フラーレンやカーボンナノチューブはカーボン、つまり炭素が主役です。21世紀はカーボンの時代だという人もいるほどです。ナノ技術の領域に突入した現在、あらゆる物質の分子レベルの特性から、巨大な産業が生まれる可能性が秘められているのです。