入力信号の立ち上がり/立ち下がりが緩やかな場合には大きく3つの問題が考えられます。
(1) タイミング変動の問題
一般に、半導体製品は製造プロセスのバラツキや使用条件によりスレッシュホールド電圧はバラツキます。
従って、入力信号が緩やかに立ち上がる/立ち下がると、
その信号をハイ・レベル/ロウ・レベルと判断するタイミングが大きく変動してしまいます。
同じスレッシュホールド電圧のバラツキの入力に対して変化時間が異なる信号を入力した場合の例を示します。
同じスレッシュホールド電圧のバラツキでも、
ロウ・レベルと判定するタイミングが立ち下がりがゆっくりしていない場合にはバラツキ1程度で済むのに対して、
ゆっくり立下った信号ではバラツキ2のように大きなタイミング差になります。
さらに、本来の信号の変化タイミングから見ると、バラツキ3の部分の影響も加わってきます。
入力信号によるタイミングのバラツキ
ほとんどのシステムが信号のタイミングを元に設計されているはずです。
入力信号を認識するタイミングが大きくばらつく場合には、
そのバラツキが無視できる程度の遅いタイミング設計しかできなくなります。
(2) スレッシュホールド電圧付近でのノイズの問題
入力信号がスレッシュホールド電圧付近で緩やかに変化していれば、
その信号にノイズが重畳することが考えられます。
このような状況では、小さなノイズでも入力信号がスレッシュホールド電圧を超えることが考えられます。
この場合、ノイズそのものが入力信号の変化とみなされてしまい、
複数の入力の順序が逆になったり、異常に短い信号が入力されたような状態となります。
つまり、システムとしてのノイズ・マージンが非常に小さくなることになります。
ゆっくりした変化の信号に対するノイズの影響
(3) 貫通電流の問題
入力信号が中間電位になると、入力バッファで貫通電流が流れることがあります。
入力信号の立ち上がり/立ち下がりが緩やかな場合には、
中間電位に留まる時間が長くなるために貫通電流の流れる可能性が高くなります。
省電力のスタンバイモードを使用する場合や小さな動作電流のデバイスを使用する場合など、
システムの消費電力を意識する場合には貫通電流の影響が無視できないことがあります。
いずれも、システムの設計や動作に大きな影響を与える可能性のある項目ですので、
不必要に入力信号の立ち上がり/立ち下がりを緩やかにしないことをお奨めいたします。