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熱設計

目次

    
FAQ-ID = therma-nnnn
0001: 考え方の基礎
0002: モデリング
0003: 各部の熱抵抗
0004: ジャンクション温度と熱抵抗
0005: 事例
0006: 放熱
0007: ICパッケージの熱抵抗
therma
-0001
考え方の基礎
Q1
半導体デバイスの熱設計について考え方の基礎は?
A1
半導体デバイスの消費する電力は熱に変わります。
この発生した熱は温度上昇の原因となります。

半導体デバイスが、正常に動作する温度 (周囲温度や半導体内部のジャンクションの温度で規定します) には上限があります。
その温度を超えると正常に動作しなくなったり、破壊したりと言ったことが起こります。
そのため、発生した熱をうまく放出させて、温度上昇を抑える必要があります。
大きな電力を消費させたい場合や、動作温度を高くするような場合には熱設計が必須です。

この、放熱を検討するときに熱抵抗と言う考え方を使います。
これは、熱の伝わり方は電気の伝わり方と対比して考えることができるからです。
詳細は省きますが,電流を熱=電力、電圧を温度、抵抗を熱抵抗に置き換えれば、 電気の計算を適用できます。

つまり、
 電位差 =  抵抗  × 電流
  ↓      ↓     ↓
 温度差 =  熱抵抗 × 熱(電力)

 熱抵抗 =  温度差 / 熱(電力)
となります。

このことから、熱抵抗の単位は℃/Wとなります。
また記号として θ を用います。どこからどこの間の熱抵抗かを添え字で示します (θj-a:ジャンクションと大気間の熱抵抗)。

注意
熱の場合には、電気ほど良導体と絶縁体(断熱体)の差が大きくありません。
従って、熱抵抗を使った細かな計算はあまり意味がありません。
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(2003/12)

therma
-0002
モデリング
Q1
どのようなモデリングに基づいているのでしょうか?
A1
半導体デバイスで電力を消費 (=熱を発生) している部分はジャンクションです (MOSではジャンクションは存在しませんが、便宜上同じ表現をしておきます)。

ここで発生した熱はデバイスの内部構造を伝わって、デバイス表面 (ケース) に来ます。
そこで、周囲の大気に放出されます。
つまり、熱を発生しているジャンクションから最終的に熱を吸収する大気までには2つの段階 (熱抵抗) が直列に入ります。

   ジャンクション :ジャンクション温度 (Tj)
     |
     >
     >     ジャンクション・ケース間熱抵抗 (θj-c) (℃/W)
     >
     |
   ケース表面   :ケース温度 (Tc)
     |
     >
     >     ケース・大気間熱抵抗 (θc-a) (℃/W)
     >
     |
    大気     :周囲温度 (Ta)
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(2003/12)

therma
-0003
各部の熱抵抗
Q1
熱抵抗はどの部分に生じるのでしょうか?
A1
ジャンクションとケース間の熱抵抗(熱の伝わりにくさ)はデバイスの構造により決まってきます。
従って、この部分の熱抵抗は固定値として扱うことになります。

ケースと大気間の熱抵抗は実装条件により大きく変化します。
放熱器を付けることは、ケース表面から放熱器を経由した放熱ルートを追加することになります。
これはデバイス本来のケース・大気間の熱抵抗と並列に放熱器を経由した熱抵抗が入ると考えます。
抵抗の並列接続ですので、ケースと大気間の熱抵抗は放熱器の分だけ小さくすることができます。

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(2003/12)

therma
-0004
ジャンクション温度と熱抵抗
Q1
ジャンクション温度と熱抵抗の関係は?
A1
実際にデバイスを使う場合には、ジャンクション温度と熱の伝わりにくさを示す熱抵抗との関係が重要になります。
ジャンクション温度 (Tj) は

  Tj = Ta + θj-a × P
       Ta  :周囲温度
       θj-a :ジャンクション・大気間熱抵抗
           ( = ジャンクション・ケース間 + ケース・大気間)
       P   :消費電力
で表すことができます。このことから次のようなことが言えます。

同じ消費電力の場合には熱抵抗が小さいほどジャンクションでの温度上昇は小さくなります。
従って、より高い周囲温度でも使えるようになります。
逆に、同じ周囲温度で使用する場合には、熱抵抗が小さいほど大きな電力を消費させることが可能です。
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(2003/12)

therma
-0005
事例
Q1
熱設計の事例はありますか?
A1
特に事例集のような資料はありません。
熱設計のポイントとしては、次の3点があります。
  • ディレーティングによって全損失を抑える
  • 熱放射(放熱板・空冷ファン・水冷など)によって熱抵抗を抑える
  • 使用環境の温度範囲を下げる
トランジスタの熱抵抗とジャンクション温度の算出については、「ディスクリート>共通>熱抵抗」及び「ディスクリート>トランジスタ>熱設計」をご参照ください。

ここでは、次のようなデバイスについて、全損失を大きくする場合の熱抵抗の算出方法を紹介します。
(1) 最大ジャンクション温度が 150℃
(2) 単体では周囲温度 80℃のとき 2Wの消費電力まで可能
(3) デバイスのジャンクション-ケース間の熱抵抗θj-cが 5℃/W



このデバイス単体のジャンクション-大気間の熱抵抗θj-aは35℃/W (= (150℃−80℃)/2W) です。
消費電力が2Wを越える場合には、熱抵抗をこれより抑える必要があります。たとえば、このデバイスを周囲温度 80℃までで 3Wの電力を消費させる場合について考察しましょう。

3W分の発熱を 70℃ (= 150℃−80℃) の温度差で伝えるには、θj-aが次の値以下でないといけません。

θj-a = 70℃/3W = 23.3℃/W (桁数が多くても意味がないので、簡単に23℃/W以下と考えます)

(3)より、このデバイスはθj-c = 5℃/Wなので、ケース-大気間の熱抵抗θc-aを次の値以下にする必要があります。

θc-a =θj-a−θj-c= 23℃/W−5℃/W = 18℃/W

ちなみにθc-a=0℃/Wとすると、θj-c に70℃の温度差を生じるので、ケースからの放熱が「温度上昇なしで100%」と仮定した場合の最大消費電力は14W (=70℃/5(℃/W))となります。



なお、ASICはケース温度の規定をしていないので、このような熱設計は適用できません。ASICで厳しい熱設計となる場合には、開発のご依頼先である販売店にご相談ください。

(2007/12)

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(2007/12)

therma
-0006
放熱
Q1
どの程度の放熱板が必要になりますか?
A1
アルミニウムの平板がどの程度の放熱をするかを、参考までに示します。

上記の事例では厚さ 1.5mm のアルミニウムの板を用いる場合、50平方センチメートルほどの面積が必要となります。
実際には放熱板の材質や空気の対流などで大きく変化します。

注意
取り付ける際は、シリコン・グリスなどを用いて部品と放熱板間の熱の伝達をよくする必要があります。
radiator
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(2003/12)

therma
-0007
ICパッケージの熱抵抗
Q1
ICで熱抵抗を規定していない製品があるのはなぜですか。
A1
マイコンや周辺デバイスなどは、パワー・デバイスのように消費電力を定格で制限するのではなく、電流条件などによって消費電力がある程度に落ち着きます。このため、動作周囲温度の範囲で使用すればいいので、パッケージの熱抵抗を規定していません。信号線の入出力電流が大きくなれば、発熱量は大きくなりますが、ハイ・レベルとロウ・レベルの限界電圧が電流を条件として規定されており、この電流値を越えると、劣化促進や破壊を生じる恐れがあります。このため、熱設計をする必要はなく、動作周囲温度が規定の範囲を越える場合に、冷却をすればいいことになります。
ディスクリートや電源用IC、ASICなどは、使用方法が特定できないため、熱設計ができるように、パッケージの熱抵抗を規定しています。

(2007/09)

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(2007/09)









































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