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あなたの家にマイコンは何個ありますか?エアコン、空気乾燥機、空気清浄機、アイロン、DVDレコーダ、ビデオカメラ、デジタルカメラ、オーディオ、ゲーム機器、電話機、FAX、プリンタ、冷蔵庫、コーヒーメーカ、電子レンジ、ガスレンジ、炊飯器、ホームベーカリー、洗濯機、電気掃除機、温水便座、お風呂コントローラ、電力メータ、ガスメータ、照明器具、リモコンなどに組み込まれており、たぶん100個以上はあるのではないでしょうか。もし、それらのマイコンがお互い電波で通信をはじめたら、いったい何が起こるのでしょう。もっと便利で、エコで、安全な生活を送ることができるようになるかもしれません。その可能性を探るため、マイコン同士の無線通信ネットワーク技術の開発に取り組んでいる(株)スカイリー・ネットワークス梅田英和社長と、NECエレクトロニクス 汎用マイコンシステム事業部 湯浅啓和氏にお話をお聞きしました。
■梅田さん、さっそくお伺いしますが、無線通信というと、携帯電話やパソコンの無線LANのようなものを考えてしまうのですが、梅田さんが取り組んでいる無線通信の技術は何が違うのですか?
梅田:「たとえば、携帯電話で隣の部屋にいる人と話をしようとすると、いったん携帯電話会社の地上局アンテナに電波を飛ばして、そこから携帯電話会社のサーバを経由して、再び携帯電話会社の地上局アンテナから隣の部屋の携帯電話に電波が届くという実は遠回りなことをしています。私たちがやろうとしていることは、携帯電話会社の地上局アンテナを経由しないで、直接、隣の部屋の携帯電話と無線でつないで通信しようとする技術です。これをP2P (Peer-to-Peer) 通信*1といいます。隣の部屋から、さらにその隣の部屋へバケツリレーのように通信を中継伝送することもできます。
最近、P2P技術を利用した通信規格としてZigBeeという規格が制定されたので、今はこの規格に沿った通信制御ソフトウエアをNECエレクトロニクスのマイコンで動くように作っています。 ZigBee*2は、ジグザグ(Zig)に動くミツバチ(Bee)が、おいしい蜜はどこにあるか情報交換をしている様子と、ZigBeeの端末同士が情報交換しながら連携して動作する特徴が類似していることから名付けられました。また、先程隣の部屋から、さらにその隣の部屋へ通信するお話をしましたが、ZigBeeではP2P通信をさらに展開し、複数の端末と一度に通信できるメッシュ・ネットワーク*3を構築することが可能です(図1)。
近距離無線通信規格の1つBluetoothと比較すると(図2)、通信速度は遅いもののBluetoothが最大1対7に対し、ZigBeeは最大1対65,000の相互通信が可能です。しかも乾電池ほどの電力で100日~数年間の稼働が可能という驚くべき低消費電力です。また使い方が簡単で、小型、低コストという普及の要素をたくさん備えています。」
■なるほど、バケツリレーで次々と通信ネットワークが広がっていくのはおもしろそうですね。でも、何か実用的な使い道があるのですか?
湯浅:「確かに、携帯電話のような星型ネットワークに慣れたわれわれの頭では、いきなりP2Pとかメッシュ・ネットワークとか言われても、何に使うのか分からないですよね。現時点で実用化に向けて検討されているのは、電力、水道、ガスなどのメータをZigBeeネットワークでつないで使用状況をリアルタイムで測定して省エネに役立てようとか、メッシュ・ネットワークの自己修復機能を活用して、大地震などの自然災害時に被害状況をセンサ・ネットワークで把握するとか、あるいは、森のあちこちにセンサを設置して環境パラメータを収集して自然保護に役立てようというアイデアです。しかし、これらの応用分野はまだ入り口で、メッシュ・ネットワークの利用法の開発が進めば、もっとさまざまな分野で活用される技術だと期待しています。冒頭で、家庭での利用の可能性に触れましたが、まずはビルや工場の運営・管理というような産業分野から広がっていくのではないかと思います。」
実際に7月に開催されたオフィス・セキュリティEXPO(OSEC)では、NECエレクトロニクスの8ビット・マイコン78K0とUBECのIEEE802.15.4コントローラを搭載した小型ボードを利用して、ZigBeeメッシュ・ネットワークでつないだビル温度監視システムを(株)スカイリー・ネットワークスが展示しました。各部屋に設置されたセンサは部屋から部屋へとバケツリレー式にデータを転送していきます。ある部屋の通信がダウンすると自動的にう回ルートを検出してデータの転送が止まるのを防ぐというデモが行われました。
NECエレクトロニクスでは、ZigBeeに対応したAll Flashマイコンを豊富にそろえており、8/16/32ビット・マイコンから最適なものを選択できます。特に低消費電力や1.8V~5.5Vの広い動作電圧範囲を特長とするNECエレクトロニクスのAll Flashマイコンは、電池駆動の無線局に最適です。またネットワーク開発環境も8/16/32ビット・マイコン共通となっています。
■NECエレクトロニクスと協業するメリットは何でしょうか?
梅田:「NECエレクトロニクスのAll Flashマイコンのセルフ書き込み機能によって、ネットワーク設定をメモリに記録しておけば、ネットワークがダウンしても復旧時にすぐに再構築することができるなど、All FlashマイコンはZigBeeに適しています。また、私たちは無線通信とP2P技術の組み合わせを可能にするマルチホップ型無線ネットワーク技術*4の研究開発を独自に行ってきましたが、NECエレクトロニクスと協業することで、当社の強みであるネットワーク・ソフトウエア開発の豊富な経験とノウハウを生かした無線ネットワーク・ソリューションを提供できることがうれしいですね。」
NECエレクトロニクスでは、(株)スカイリー・ネットワークスのほか、Uniband Electronic Corporation、(株)アプリケーションとチームを結成。P2P通信によるメッシュ・ネットワークを構築するためのソフトウエア開発キット「ZigBee SDK」を利用した開発プラットフォームを用意しており、すぐにでも応用開発をはじめられる体制を取っています。次は、お客様とのコラボレーションです。メッシュ・ネットワーク実現に向けて、ZigBeeネットワーク・ソリューションを提供していきます。
注釈(*)