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Volume 77 (2007/09/05)

NECエレクトロニクスの自動車分野への取り組み ∼AUTOSAR


Peter Jakobsson
NECエレクトロニクスヨーロッパ
Automotive Business Group
Senior Engineer
Peter Jakobsson

自動車の安全性の向上や環境への配慮からエンジンやブレーキ制御、あるいは、車内制御など、電子化はますます高度に進展しています。この電子制御装置(ECU)を開発するうえで、ソフトウエアの占める比率は増えており、開発の効率向上が課題になっています。そこでヨーロッパの自動車および電装メーカ、ソフトウエア開発ツールメーカなどが、AUTOSAR(Automotive Open System Architecture)を設立。NECエレクトロニクスも、このコンソーシアムに参加しプレミアムメンバとしてソフトウエア・プラットフォームの標準化活動に積極的に取り組んでいます。

今回、当社のAUTOSARへの取り組みについて、NECエレクトロニクスヨーロッパのPeter Jakobsson氏に聞きました。



AUTOSARでのNECエレクトロニクスの役割についてお聞かせください。

自動車メーカ様間のソフトウエア・プラットフォーム共通化

まずは自動車分野におけるAUTOSARの役割をご紹介します。AUTOSARでは、車載ネットワークにかかわるすべての電子部品に共通して使えるソフトウエア・プラットフォームの標準化を進めています。これにより、どのマイコンでもソフトを共通して使用することが可能になります。具体的には、従来それぞれの自動車メーカ様が持っていたソフトウエア・プラットフォームを共通化することで、メーカの垣根を越えてソフト資産を流用し、活用できるようになるのです(図1)。このように開発の効率化を図ることで、自動車の電子化がさらに進み、安全性や快適性の向上が期待できます。


その中で当社の役割は、ハードであるマイコンとAUTOSARの策定するソフトウエアを最適な組み合わせで提供することにより、お客様のアプリケーション・ソフトウエア開発の効率化を支援することです。先程もお話したとおり、自動車制御の電子化が進む中で、ハードだけでなくソフトを含めたシステム開発が、ますます増えていくものと思われます。今後の自動車分野における成功の鍵は、いかに効率よくソフトウエア開発を行うかにあるといっても過言ではありません。そのお手伝いを当社ができればいいと思います。


AUTOSARを進めるうえでの苦労をお聞かせください。

どのような開発にも苦労はつきものです。AUTOSARでの自動車向けソフトウエアの標準化を進める中で、第1フェーズ標準仕様「リリース2.1」の開発時にも下記の課題がありました。


  1. 性能
    AUTOSARのソフトウエアは、自動車制御に必要なリアルタイム制御を行うことができるか?
  2. メモリ容量
    AUTOSARのソフトウエアを取り入れることで従来のECUと比べてどの程度メモリ容量が増えるのか?
  3. 品質
    ソフトウエアの流用が可能なレベルの品質基準を満たすことができるか?

これらはソフトウエア開発において非常に重要な項目です。AUTOSARでは1つ1つの項目について何度も議論を重ね、検証を行うことで問題を解決していきました。またそこから得た経験や知識をベースにAUTOSARでのソフトウエア・プラットフォーム標準化はさらに進んでおり、現在では量産段階に対応するレベルまで来ています。


NECエレクトロニクスのAUTOSARに対応したソリューションの特長は何でしょうか?

AUTOSARのソフトウエア構造

NECエレクトロニクスは、車載向けに多くのマイコンを開発しています。あわせてAUTOSARのソフトウエアに対応したデバイスドライバ(MCAL=Microcontroller Abstraction Layer)を整備しています(図2)。このデバイスドライバは、自動車の高い品質要求レベルに対応するためCMMI*1のソフトウエアプロセスで開発しています。ただし、デバイスドライバとマイコンのみではお客様のECUを設計するのに十分ではありません。AUTOSARベースのECU設計を全面的に支援するため、デバイスドライバに加えて自動車業界で実績のあるソフトウエア会社と連携してOSやミドルウエア、アプリケーションソフトを組み合わせたトータルソリューションを提供します。


つまり、マイコンで培った技術や実績を踏まえて開発した当社のデバイスドライバと自動車業界で実績のあるソフトウエア会社によるソフトウエアの組み合わせによって、お客様のECU設計の開発効率化に貢献できると思います。

注釈(*)


  1. CMMI
    Capability Maturity Model Integration(能力成熟度モデル統合)の略称。能力成熟度モデルの1つであり、システム開発を行う組織がプロセス改善を行うためのガイドライン。

AUTOSARによるお客様のメリットは何でしょうか?

ソフトウエアの再利用イメージ

やはり、お客様がソフトウエアを再利用できることですね。つまりデバイスドライバを除くマイコンに依存しない部分のソフトウエアは、多くの車種に水平展開できます。それだけでなく自動車、電装メーカ様間でも共有することができるのです(図3)。実はこれがソフトウエア・プラットフォームの標準化活動を行うAUTOSARの目標なのです。また開発コストを削減できるのもメリットです。当社としても開発したデバイスドライバをお客様ごとにカスタマイズせず共通して多くのお客様に使用していただけますので、その分低コストで提供することができるのです。


AUTOSAR活動の今後の目標をお聞かせください。

今後の展開として、NECエレクトロニクスは、車載制御向けのV850ES/Fx3をはじめとした32ビットマイコン製品に対してAUTOSARのソフトウエアサポートを進めていきます。

自動車および電装メーカ様がAUTOSARの標準プラットフォームを導入した製品を量産するのは2010~2012年ごろと言われています。つまり現時点では開発前の段階であり、来年から製品開発スタートということになります。それに向けてNECエレクトロニクスは、AUTOSARのソフトウエアを全世界で利用できるよう進めていかなくてはなりません。具体的には、ソフトウエアのサポートや販売体制をしっかりと確立していく必要があります。私の目標は、お客様でのAUTOSARをベースにしたシステム開発が本格的に始まるまでに当社として準備をしっかり整えておくことです。


最後に一言お願いします。

NECエレクトロニクスは、世界有数の自動車および電装メーカ様と協力しながらAUTOSARの活動を進めています。

当社がAUTOSARに対応したマイコンやソフトウエアを開発、提供することで、お客様がAUTOSARを導入して製品を量産するときのマイコンメーカとなれるようこれからも活動を進めていきます。




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