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Volume 75 (2007/06/26)

VLSIシンポジウム2007発表論文のご紹介 (5/5)


無線IPコアのデジタル化をさらに一歩進める基本技術を開発

システムLSIへの無線IPコア混載が容易になり、無線機器の低コスト化・低消費電力化に貢献する無線IPコアのデジタル化を進める技術を開発しました。



半導体製造プロセスの微細化によるトランジスタの低ノイズ化、動作速度の向上等により、無線回路のデジタル化はますます進んでいます。また、無線回路内の信号を離散時間処理*1して低電源電圧化を実現するデジタル無線技術も提案されています。ただこれらのデジタル無線技術は、FIR/IIRやFFTなどのフィルタ・スペクトル処理を扱うものであったためフィルタ回路等に限定されていました。今回、NECとNECエレクトロニクスは共同でシステムLSIに無線IPコアを搭載するうえで必要となる技術を送信、受信部分において2つ開発しました。


デジタル信号によるRF特性制御が可能な変調器・パワーアンプ

1つは、送信部分でデジタル信号から歪みの少ないRF信号を合成する技術です。この技術を無線IPコア送信部の位相変調器とパワーアンプに用いることで(図1)、従来LSI外部で必要としていた高価な歪み除去フィルタが不要となり、送信システムの低コスト化を実現します。またパワーアンプのタイミング調整回路でデジタル信号の位相を調整できるようになり、RF信号の歪みを低減します。これによりLSI製造後でも性能を微調整でき、LSI設計工期の短縮が可能になります。


もう1つは、受信したRF信号をサンプリングし、そのデータを比較することでRF信号を受信データに直接復調する技術(図2)とRF信号の受信状態にあわせてサンプリング頻度を変える技術(図3)です。従来は1ビットのデータを受信する間は回路を連続動作させていましたが、今回開発した技術は、通信状態にあわせて1ビットを受信する間の一部だけ回路を動作させます。これにより、良好な通信環境では受信回路の動作期間を短くすることで、通信環境に適応させた消費電力低減(試作チップでは最大1桁近くの電力低減)が可能になります。


1ビット受信時間内での間欠動作を可能とするデータ復調回路

RF信号の受信状態にあわせてサンプリング頻度を変える技術


NECエレクトロニクスは、これらの技術をベースに半導体プロセスの微細化に対応した無線IPコアをシステムLSIに搭載することで、部品点数の削減による低コスト化、きめ細かい電力削減などユビキタスネットワーク社会の実現に貢献できるよう一層の技術開発を加速していきます。

注釈(*)


  1. 離散時間処理
    扱う信号の不要な周波数帯域を適宜制限することで、扱うデータのみの値でサンプリングして処理を軽減し、フィルタその他の処理を連続時間で行ったのと等価な結果を実現する処理(技術)。


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