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Volume 73 (2007/05/30)

携帯機器の進化を支える期待の新パッケージ技術「SMAFTI™」


賞状と記念楯
賞状と記念楯

2007年2月に開催された「エレクトロニクスにおけるマイクロ接合・実装技術シンポジウム(略称 Mate2007)」 において、当社の『高密度SiP技術「SMAFTI」(スマフティ)におけるBGA形成技術と接続信頼性』と題した発表論文が開発奨励賞を受賞しました。この賞は、学術および技術的に優れた将来性のある技術に贈られるもので、当社では7年ぶりの受賞になりました。SMAFTI(SMArt chip connection with FeedThrough Interposer)とは、ロジックと大容量メモリを距離約60μm、ピッチ50μmで3次元的に接続できる独自のSiP技術です。これにより、プロセッサとメモリ間のデータ転送速度の高速化やメモリの大容量化が可能になるため、携帯機器で高画質な動画処理を実現することができます。今回、受賞したSMAFTIの開発背景や特長について、開発に携わった皆さんに聞きました。


Q:SMAFTI開発経緯についてお聞かせください。

現在、必要な機能をワンチップで実現するLSIとして、メモリをロジックLSIと同じチップ上に作り込むシステム・オン・チップ(SoC)という技術が用いられています。しかし、SoCは開発コストが高く、搭載できるメモリの容量がチップサイズにより制限されるという問題点があります。


SoC、SiP、CoCとSMAFTI

NECエレクトロニクスでは、1999年から携帯機器の高機能化や高速化、メモリ大容量化に答える新しいパッケージの開発に取り組んできました。さらにはお客様からも「低コストで高密度パッケージが欲しい」といった要求もあり、これらを実現する新SiP技術の開発に本格的に着手することにしました。

すでにこのとき、プロセッサとメモリ間のデータ転送速度の高速化には、メモリバス性能を上げることが必要なことは分かっていました。たとえば、CoC(Chip on Chip)パッケージのようにバンプ接続すれば転送速度は向上しますが、チップサイズが制限されるのでメモリの大容量化が困難になってしまいます。一方、従来のSiP(System in Package)パッケージのようにプロセッサとメモリを積み重ねれば、大容量のメモリを1パッケージに収容することができますが、ワイヤ接続のためデータ転送速度の高速化には限界があります。データ転送速度の高速化とメモリの大容量化を両立するには、これら2つのパッケージ技術の特長を生かしたものが必要でした。いろいろなパッケージを考え、試行錯誤を繰り返していました。


川野連也
実装技術部 チームマネージャー
川野連也

そのような時期に、我々の開発チームに量産技術開発に携わっていた栗田氏が加わることになり、挨拶するやいなや「何をやればいいですか?」と尋ねてきたので「まず新しいパッケージを考えてくれ」と依頼しました。とにかく既存の概念にとらわれない新鮮な発想が欲しかったのです。しばらくすると、新しい三次元構造のパッケージを提案してくれました。これがSMAFTIの原型であり、まさしく私たちが開発したかったパッケージだったのです。


Q:SMAFTIの新三次元構造パッケージは、どのように発想されたのですか?

栗田洋一郎
実装技術部 主任
栗田洋一郎

NECエレクトロニクスには、バンプ形成技術やCu配線技術、実装技術など個別に優れた要素技術があります。以前携わっていた量産技術開発の経験も役立ったと思いますが、いろいろ調べていくうちに、自然に新しい三次元構造の原型を思い付くことができました。ただその時点では発案だけですから、技術的に新三次元構造を実現できるかどうか不安でした。
実現の鍵となったのが、極薄のフィードスルーインターポーザ(FTI)の開発です。線幅15μmのCuメッキ配線と7μm厚のポリイミド樹脂による「スーパーコネクト技術」*1により、厚さわずか15μmのFTIを開発しました。このインターポーザは50μmの狭ピッチでプロセッサとメモリ間を接続し、またプロセッサから外部端子への配線引き出しを行っています。このFTIは貫通電極を用いた積層メモリにも応用でき、8枚のメモリとプロセッサを1つのパッケージに搭載することを可能にしました。


Q:高密度SiP技術といわれていますが、従来のSiP技術との相違点についてお聞かせください。

梶原 護
実装技術部 シニアエキスパート
梶原 護

さまざまな相違点があります。まず、構造の違いです。SiP技術では、インターポーザ(配線基板)が厚く、狭ピッチ接続に対応させるのは困難です。またワイヤ接続のため、転送速度の高速化も限界があります。SMAFTIは、ワイヤ配線を使用しない、まったく新しい三次元構造のパッケージです。従来のSiPやCoCと比較すると、その違いは明白です。


SMAFTIの特長

この新三次元構造によって、従来のSiPと比べて大きく性能が向上しました。ワイヤ接続の替わりにプロセッサなどのロジックLSIとメモリ間を微細なバンプ(突起電極)で接続することでメモリバス性能を高めました。その結果、データ伝送速度が大幅に向上したのです。しかも、CoCでは困難だったメモリの大容量化を可能にしました。


SMAFTIの製造プロセス

次に、製造工程のほとんどがウェハーレベルでの組み立てプロセスであるということが従来との大きな違いです。高価なパッケージ基板を使用しないで最終パッケージの機能を実現できます。構造がシンプルなため、製作工程が短縮できます。それによって、製作工程での品質が高まり、さらに低コストで効率的な生産が可能になります。


Q:開発をするうえで工夫した点はありますか?

川城史義
実装技術部 主任
川城史義

SMAFTI製造プロセスの実現には多くの時間を費やしました。たとえばBGAボール搭載工程では、シリコン支持体を取り除いたあとの樹脂ウェハー状態での作業となるため、熱膨張による反りの反動が大きくなります。そのため、何度も樹脂材料の調整や樹脂成型条件の改善を繰り返し、また、ボール搭載治工具にも加工の検討を行いました。その結果、42,604ボールの一括付け時に170ppmのボール欠損率で組み立てが可能となりました。また、リフローの際にも230℃位の熱処理が行われますが、条件を最適化してボール同士がくっつかないように改善しました。そのほか、ボードレベルでの信頼性や長期信頼性を確保できるようさまざまな工夫を凝らしました。


Q:お客様へのメリットをお聞かせください。

高速データ伝送、大容量メモリ、低コストを同時に実現するSMAFTI技術により、携帯機器をはじめとしたあらゆる製品の高性能化を支えるだけでなく、お客様のセットの製造期間短縮やコスト低減に貢献できることを期待しています。


お話ありがとうございました。

NECエレクトロニクスは、今後も電子デバイスの多様化、高機能化を通じて携帯機器の高画質な動画処理を実現する製品を提供していきます。


注釈(*)


  1. スーパーコネクト
    LSI配線とパッケージ配線の中間の領域で必要とされる配線幅5~10μm級の配線技術であり、日経BP社により提唱。(日経マイクロデバイス、2000年6月号)



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