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<第一部>
連続50時間の音楽再生を実現するNECエレクトロニクスの携帯電話用オーディオプロセッサ「μPD99910」について、まずは製品の特長をご紹介します。
昨今、携帯電話のメロディ機能はますます進化し、音楽配信サイトのコンテンツが充実してきました。楽曲を丸ごと1曲ダウンロードできる「着うたフル®」は3000万ダウンロード*1を突破しており、携帯電話用の音楽配信サービスはさらに充実していくと思われます。一方、メモリやハードディスクに音楽を記録する携帯オーディオプレーヤが急速な広がりを見せています。これに伴い携帯電話も音楽データをCDから取り込んだり、インターネットからダウンロードするなど携帯オーディオプレーヤと同等の機能が求められるようになりました。
こうした携帯電話の機能の拡充に伴い、通信や通話などの基本機能の処理を行うベースバンドLSIとは別に、音楽再生やカメラ機能、画像などの処理やWebブラウジングを処理するLSIを搭載することが一般的となってきています。このようなLSIをアプリケーションプロセッサと呼んでいます。音楽再生を行う場合、このアプリケーションプロセッサ上のCPUやDSPを利用しますが、消費電力が大きいため長時間の再生ができないという問題があります。現在5、6時間の連続再生が可能と言われていますが、携帯電話は音楽再生以外の通話やメール、インターネットの機能も使用するため、実質的な再生時間は半分程度になってしまいます。このためバッテリを気にすることなく、携帯オーディオプレーヤ並みに長時間の音楽再生を実現するには、いかに消費電力を抑えるかが課題になっています。
NECエレクトロニクスは、このニーズに応えるため専用LSIとしてオーディオプロセッサ「μPD99910」を開発しました。「μPD99910」は、アプリケーションプロセッサの音楽再生機能を切り出し、それに特化したLSIです(図1)。
μPD99910は、LSI内部に音楽再生処理専用の低消費電力CPUおよびDSPを内蔵しており、音楽再生時でも10mWという低消費電力を実現しています。このため、消費電力が大きいアプリケーションプロセッサ上のCPUやDSPを動作せずに音楽を再生できるため、これまでの倍以上となる50時間の連続音楽再生を実現できます。(AAC方式で圧縮され、データ転送速度が毎秒128キロビット、オーディオ出力のサンプリング周波数が44.1キロヘルツの、デジタル音楽著作権保護協議会(SDMI)の規格に準拠したデータを用いて試算した当社内比較によるデータ)。
またμPD99910では、実装面積を低減するために極限までチップサイズを小さくしました。パッケージは、6mm角の97ピンTFBGAを採用し、小型・薄型化に対応しています(写真1)。
さらに、インターネットから音楽をダウンロードするのに対応した著作権保護機能を持つ小型メモリカード「SDカード」とのインタフェース機能を搭載しています。SDカードの著作権保護技術「CPRM」に対応しているため、著作権を侵すことなく音楽データのダウンロードや活用ができます。
NECエレクトロニクスは、これまでも携帯電話の進化に合わせて、モノラル、ステレオ・サラウンドからマルチファンクションに対応するさまざまなオーディオ再生用LSIを提供してきました。今後も増大する携帯電話メーカーの皆様の開発負担を軽減するため、最新の携帯電話での音楽再生のニーズにいち早く対応する技術革新を続けていきます。
続いて第二部では「μPD99910」の魅力について、開発するうえでの工夫や苦労した点を交えながらご紹介します。
注釈(*)
・着うたフル®は、株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメントの登録商標です。