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Volume 52 (2005/08/31)

エアコンなど省エネ、静寂性、きめ細かな温度制御に貢献するインバータ制御用マイコン


身近な製品に採用されているインバータ

皆さん、インバータ技術(注1)を使った家電というと何を思い浮かべるでしょうか。おそらく多くの人はまずエアコンを連想するでしょう。インバータはこの他にも洗濯機や冷蔵庫など身の回りの多くの家電製品に使われています。また、家電以外でもエレベータやロボットなど、さらには自動車の電動パワステや電動アシスト付き自転車などモータ駆動が不可欠な製品に使われており、さらにIHクッキングヒータなどの電磁調理器や蛍光灯などモータ駆動以外でもこの技術は使われています。では、インバータ技術はこれらの製品の動作にどのような働きをしているのでしょうか、エアコンを例にお話ししましょう。


エアコンの省エネ、静寂性、きめ細かな温度制御に貢献

インバータエアコンとノン・インバータエアコンの比較

エアコンは、家庭内で最も電力の消費量が多い電化製品の1つです。エアコンを使うなら、当然電気代が少なく、なおかつ静かで快適なものが欲しくなります。インバータ技術はこれらのニーズを満たすのに非常に重要な役割を担っています。温度設定を例に説明すると、夏場25℃に温度設定した場合、インバータ制御のないエアコンでは、室温が25℃以下になると電源が一度オフになり、また25℃以上になると再び電源がオンになるというように、25℃を境にオン、オフを繰り返す動作をしています。そのため、設定温度に対する室温の上下幅が大きく無駄な電力を消費してしまいます。さらに電源スイッチがオン/オフするたびにバンッという大きな音が発生して不快感を与えます。これに対し、インバータエアコンではオン、オフを繰り返すことなく、オンの状態のままで一定の温度に保つことができます(図1)。これは室外機のコンプレッサが冷媒ガスの圧縮率を変えることによって冷やす強さを調整することで実現しており、実際には、コンプレッサ内のモータの回転スピードの調整で行っています。インバータ制御はモータを回す電源の周波数を可変することで回転スピードを広範囲にかつスムーズにコントロールすることができるため、低消費電力と静粛性、さらにきめ細かな温度調整が可能となるのです。


インバータ制御のキーとなるマイコン

従来型インバータと近年の正弦波インバータの比較

このインバータ制御のキーとなるのがマイコンで、インバータシステムの性能を左右しています。モータの回転をスムーズにコントロールするためには、負荷変動による微少な「ぶれ」に対し、マイコンが最適な駆動力を算出し、フィードバック処理を行うことで「ぶれ」をなくし、さらにきめ細かな制御によりモータ駆動の電力ロスを最小限に抑えることが可能になります。つまり、高速な割り込み応答時間や単位時間当たりの演算処理能力の高いマイコンが、システムの省エネ性能の向上に貢献するきれいな電源波形を作り上げることができます(図2)。



インバータ制御向けマイコン・ロードマップ

NECエレクトロニクスでは、幅広い周波数とROMサイズおよびパッケージ展開でオンオフ制御からステッピング・モータ制御、さらにインバータ制御向けなど、民生機器、産業系それぞれのアプリケーションに最適な製品でお応えしています(図3)。例えば、最高動作周波数200MHzを実現する32ビットマイコンV850E2/ME3は、超高速処理が必要な産業用インバータなどに最適な新製品です。また8ビットマイコンμPD78F0714や32ビットマイコンV850ES/IK1は、A/Dコンバータや保護回路などインバータ制御に最適な回路機能と外部ICの内蔵化としてリセットICと低電圧検出機能を搭載し、おもに冷蔵庫などのインバータ制御に使用されています。

さらにエアコンなど高性能かつシステムのコスト・アップを押さえる必要のあるインバータ向けのマイコンとしては、V850E/IA4やIA3を新たに製品化しています。近年のエアコンに採用されている正弦波インバータ制御用にインバータ・タイマと同期したA/Dコンバータやシステムの安全性を高める保護回路などインバータ制御に最適な回路機能を搭載し、システムを構成する上で必須なオペアンプ、コンパレータなど外部ICを内蔵しています。これら2製品と先ほど紹介したV850ES/IK1は、搭載機能をほぼ同一とし、ソフトウエアの互換性を実現しています。

このように性能、使い勝手、安全性と三拍子揃った当社のインバータ制御向けマイコンは、多くのセットメーカーにご好評をいただき、高いシェアを誇っています。今後も、アプリケーションの広がりに対応したラインアップの充実を図りながら、システム性能の向上とコストダウンの提案、さらにお客様の開発資産の継承を実現する製品をお届けしていきます。

(注1)  インバータ技術とは直流電源から交流電源を作り出す技術のことです。エアコンの場合は、50/60Hzの交流電源を一旦直流電源に変換し、その後インバータ技術により交流電源に再変換し、モータを回しています。




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