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近年、システム・オン・チップ(SoC)に大容量かつ高速のDRAMを混載したいといったニーズが再び高まりつつあります。たとえばパソコンのメモリのように、外部DRAMを使用した場合、アクセススピードは遅くなり、より多くのパワーを消費します。これに対して、SoCの内部に高速かつ大容量のDRAMを配置することで、アクセススピードが向上するだけでなく、消費電力の低減および全体の部品点数の削減が可能となり、システム機能の高性能化、小型化を実現できます。
DRAM混載技術にはトランジスタやコンデンサ(キャパシタ)が必要であり、チップ内に作りこむためには、高度な特殊プロセス技術が必要となります。NECエレクトロニクスでは、CMOS互換性に重点を置いた従来とは異なるDRAM混載技術をサポートしています。ここでは、その技術内容についてご紹介します。
DRAMは、キャパシタの構造からスタック型とトレンチ型の2通りに分類されます。トレンチ型DRAMでは、シリコンウエハ上にフォトレジストという樹脂を塗布し、酸化膜や金属膜などを物理的または化学的に食刻加工するエッチング工程により、深い溝(トレンチ)を生成するプロセスを使用しています。これらのトレンチはディープトレンチと呼ばれ、"シリコンのグランドキャニオン"と言われるように、標準CMOSプロセスで使用されるシャロウトレンチと比較し、何倍もの深さになります(図1)。
事実、このディープトレンチ・プロセスは標準CMOSプロセスと性質が異なっているので、ほとんどの半導体メーカはDRAMを組み込んだSoCを作るために2つの製造ラインを使っています。最初にメモリ用の製造ラインでディープトレンチキャパシタを作ります。そのシリコンウエハはCMOS製造ラインに運ばれSoCとして完成させます。それぞれのデバイスの特性が損なわれずに組み込まれるので、2つの製造ラインを使用する方法は非常に有効なものでした。しかし、この複雑な製造方法では製造コストが高くなるため、従来の汎用DRAMと比較してメリットが出せませんでした(従来のスタックキャパシタにも同様の問題がありました)。
NEC エレクトロニクスの混載DRAMでは、標準CMOSプロセスを使用してキャパシタを作ることににより、この問題を解決しています。当社のDRAM混載技術はスタック型であるため、2つの容量電極間に高誘電率素材を挟み込むという難題をクリアしなければなりません。工程の追加と新素材の採用でCMOS互換プロセスでスタックキャパシタを形成することはできますが、製造コストを抑えるためには、これらの追加工程と新素材を最小限にしなければなりません。
またスタック型DRAMでは、スタックキャパシタ形成時の熱処理によるCMOSトランジスタ特性の劣化を防ぐためにディープトレンチ方法よりも低温なプロセスを開発し、最小面積で多くの電荷を保持し、かつ電気の漏れに負けないチャージを維持できるキャパシタを作る必要があります。さらにチップの表面にDRAM構造を積み重ねすぎると、さまざまな問題を引き起こす可能性があります。
NECエレクトロニクスではDRAMを混載したSoCの実用化に向けて、DRAMをCMOSチップに適応させるための方法を検討してきました。具体的には、メタルを使用した新しいスタックキャパシタ(MIM)の製造手法と新素材の開発をすすめ、その結果、標準CMOSプロセスと互換性を持ったDRAM混載技術の開発に成功しました。
当社の最先端DRAM混載技術は、新プロセス90nmを用いたUX6Dを採用しており、250MHzという高速なランダムアクセス性能を有したDRAMと高速プロセッサをシングルチップに搭載することが可能となりました。高速なランダムアクセスタイムを実現したDRAMは、SoC内のプロセッサに高速にデータを供給することができます。この技術を用いることで、たとえば家庭用ゲーム機器では、よりスピーディでリアルな画像のゲームを楽しむことができます。さらに通信機器、デジタル家電、サーバなどの幅広い用途で、セットのシステムスピード高速化を実現します。
DRAM混載技術のもうひとつのメリットは、消費電力が削減できることです。SoCのコアロジックは、低電圧駆動(UX6Dの場合は1V駆動)を実現しています。従来、外部メモリへのSoCの信号は、電磁ノイズが問題を引き起こさないようにするために高電圧インタフェースで駆動していましたが、DRAM混載技術により、これらのインタフェースが削減でき、結果として大幅な省電力化が可能となりました。
これらの技術を採用して、NECエレクトロニクスはUX6Dプロセス向けに2種類の混載DRAMを提供しています。1つはさきほど触れた高速ランダムアクセス性に特化したもので、もう一つは、省電力および高集積化を実現するものです。後者は携帯電話などの電池駆動型のモバイル機器向けに対応しています。