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私たちの身のまわりにある電子機器の多くには、組込みコンピュータが搭載されています。マイコンはその代表的なもので、CPU、メモリ、インタフェースなどを1チップに組込み、電子機器を制御する機能を担っています(図1)。近年、インターネットや携帯電話の普及により、私たちはいつでもどこでも情報をより早く入手することができるようになりました。さらに情報のやりとりだけでなく、社会全体がネットワークで繋がろうとしています。これにより、電子機器に搭載されるコンピュータは機器の制御だけでなく、ネットワークを介した画像や音声データなどの処理を行うことが必要になってきています。その際には、情報の大容量化、高速化のみならず、セキュリティ確保対策などが求められるようになり、マイコン単体のCPU処理速度やメモリ容量だけでは処理しきれなくなってきました。
また携帯電話を始めとした電子機器は、めまぐるしい技術の進歩により頻繁にモデルチェンジを繰り返しており、開発者はその都度ソフトやハードの見直しを行っています。高性能なものを短期間に開発しなければならず、いかに効率よく開発するかが課題になっています。
これら2つの課題を解決する1つの方法として、T-Engineが生まれました。T-Engineとは、現在多くの電子機器に利用されているリアルタイムOSのITRONを進化させたT-Kernelを搭載した標準開発プラットフォームです。組込みシステムの開発効率化を目指したもので、ソフト、ハードの両面で標準化がなされています。ハードでは、T-Engineのボードの大きさや端子の位置、インタフェースなどが規定されており、大きさや機能に応じて標準T-Engine、μT-Engineのプラットフォームがあります。主にMIPS®やARM®などのCPUコアや汎用DRAMが搭載されており、ネットワークに対応した高速かつ大容量の処理が可能です。「T-Kernel」と呼ばれるリアルタイムOSはT-Engineフォーラムで標準化され、ソースコードが公開されています。これによって、CPUを変更してもボードの大きさや端子の位置の変更がなく、さらに同じプログラムが使用できるので、開発の効率化が実現できます。
NECエレクトロニクスでは、T-Engineプロジェクトを推進するT-Engineフォーラムへ設立時より積極的に参加し、弊社のプロセッサやマイコンをベースとした開発キットを提供しています。ネットワーク機器やOA機器などに採用されているMIPSアーキテクチャ対応64ビットRISC型マイクロプロセッサVRシリーズを搭載したT-Engine開発キットをパーソナルメディア株式会社よりリリースしています。そしてこのたび各種プリンタ、ネットワーク機器などの民生機器のほか、インバータ制御などの産業機器まで幅広い分野で採用されている32ビットRISCマイクロコントローラV850E/MA3を搭載したμT-Engine/V850E-MA3開発キットもリリースしました(写真1)。この開発キットは、CPUボードと拡張ボードのハードウエアとT-Kernel、T-Monitor、各種ドライバのソフトウエアを低価格で利用することができるものです。
あわせてNECエレクトロニクスでは、初めてT-Engineをお使いになるお客様に対して、開発環境に応じたソフト、ハード設計のコンサルティングやサポートを行っており、T-Engine導入のお手伝いをしています。その代表例が、T-Engineをベースに開発した組込み応用製品(アプライアンス):超小型コンピュータTeacube/VR5701評価キットです(写真2)。この評価キットは、VR5701を搭載したCPUボードにアナログRGB出力、音声入出力、LAN、USB端子などを内蔵し、またT-KernelなどのOSやミドルウエア集PMC T-Shellも添付しており、パソコンに匹敵する機能を手のひらサイズに凝縮しました。そのまま端末などの最終製品に組み込んで利用できるほか、組込み機器の開発用プラットフォームとしても活用できます。
ますます広がるネットワーク社会の実現に向けて、NECエレクトロニクスはT-Engineの提供とサービスにより一層努めてまいります。
・MIPS®は、MIPS Technologies, Inc.の登録商標もしくは商標です。
・ARM®は、ARM社のEUおよび米国における登録商標です。