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Volume 43 (2005/04/08)

世界が認めたEMC技術で、デジタル機器のノイズを低減! (1/2)


デジタル機器のノイズ低減の鍵を握るEMC技術

EMCとは

インターネットの発展に伴うPCや周辺機器の急激な増加、携帯電話やデジタル家電の普及、さらに自動車のIT化など、私たちを取り巻くデジタル機器はますます多彩に広がっている。いままでにない便利さ快適さを次々と実現してくれるこれらのデジタル機器は、一方で、機器同士の誤動作などの原因となる電磁気を発生させるといった問題も抱えている。各国において規制も設けられるようになり、EMC(Electromagnetic Compatibility)技術がいま注目されている(図1)。これは電磁気発生(EMI)を抑え、電磁気耐性(EMS)を高めるための技術をいう。つまりあらゆる電子機器において、EMIノイズをできるだけ発生させないことに加え、外部からのEMIノイズに影響されにくい製品の開発が、いまデジタル機器メーカにとっての課題となっているのだ。


MP法(磁界プローブ法)

2002年にNECエレクトロニクス(当時NEC)では、半導体単独のEMI測定法を他社に先駆けて開発した。LSI単体の電源電流を非接触測定することにより、機器に実際に使用された状態でのEMIレベルを極めて小さな誤差で推定することができる。この技術は、MP法(磁界プローブ法)と呼ばれ、現在IEC(国際電気標準委員会)により国際規格として定められている(図2)。さらに、今日ではLSIの設計段階におけるEMIノイズのシミュレーション技術、低EMIを実現する対策技術においても他社をリードしている。しかし、わずか10年ほど前までは、EMC技術それ自体が存在しなかったばかりか、EMIノイズ対策を講じる必要性もほとんどなかったのだ。さまざまな試行錯誤を経てこれら技術を実現するに至った開発者たちのストーリーを振り返った。


EMI対策を急げ!

1990年代の半ば、LSIの高速化、微細化は急速に進んでいた。0.5μmから0.35μmへ、さらに0.25μmへとプロセスが微細化されるにつれ、デジタル機器の高性能化、小型化に拍車がかかっていった。一方、インターネットの進展により、オフィス内ではネットワーク化が急速に進んでいた。この頃から、デジタル機器同士の干渉や誤動作など、EMIノイズによる問題が徐々に顕在化し始めてきた。


渡辺 毅
写真 1 設計技術事業部
基盤設計技術開発グループ チームマネージャー
渡辺 毅

NECエレクトロニクス 基盤設計技術開発グループのチームマネージャーである渡辺 毅は、当時を振り返って「デジタル機器がEMIを発生させることはわかっていた。でも、その原因がどこにあるのかさえ当時はわからなかった」と話す。デジタル機器が発生させるEMIは、複合的な要因によるものだった。LSIも原因の一つと思われていたが、電磁気はプリント基板でも増幅される。また、プリンタなどでは長い接続ケーブルがアンテナとなり、EMIを発生して周囲の機器を誤動作させてしまうこともある。機器メーカー各社は、問題の解決に頭を抱えていた。EMIフィルターやデカップリングコンデンサなどのEMI対策部品を基板に配置するこれまでの方法では、製品の小型化は難しい。また、部品を増やせばそれだけコストもかさむ。

1996年、さらに追い討ちをかけるような状況が待ち受けていた。EMC指令が発効され、日本から欧州加盟国への電子機器の輸出に関して、EMI及びEMS両方で国際規格を満たしていなければ輸出できないといった規制が設けられたのだ。当然LSI側にも対策が求められた。これまで、ひたすら高速化、微細化に向けて技術革新を進めてきたLSI開発に、EMIノイズという目に見えない障害が高い壁となって立ち塞がったのだ。

1997年、渡辺を中心にEMCプロジェクトが他社に先駆けて発足した。NEC中央研究所とともにEMCの測定方法、シミュレーション技術、そしてLSI内での対策技術の開発に明け暮れる日々がそれからの年も続いた。「はじめはEMIをどう測定していいのやら見当もつかなかった。まさに暗中模索の状態だった」と、渡辺は当時を振り返る。2003年になって、測定技術、シミュレーション技術、対策技術といった3本柱からなるNECのEMC技術がついに実用化され、なかでもコアとなる測定技術であるMP法は国際規格となった。エレクトロニクス関連の雑誌や業界紙からの取材が相次いだ。NECエレクトロニクスのEMC技術における快挙は、あっという間に業界に認知されていったのだ。



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