ページの先頭です
本文へジャンプする

本ウェブサイトでは、JavaScriptおよびスタイルシートを使用しております。
お客さまがご使用のブラウザではスタイルが未適応のため、本来とは異なった表示になっておりますが、 情報は問題なくご利用いただけます。



Volume 14 (2003/07/23)

ISSP誕生までの軌跡・第二部 (1/2)

「仲間作り、そして」


ISSPの開発は、パートナーとの連携が支える

ISSPプロジェクト 「仲間作りの系譜」

基礎検討を開始した2000年5月から約1年半、ISSP開発プロジェクトチームは多くの試練を乗り越え、製品化に成功した。ISSP開発プロジェクトを生みだしたシステムULSI開発本部(当時)は、以前から少量多品種の製品開発を要求されており、本部内にASICの設計から試作までのあらゆる機能がそろっていたので、プロジェクトメンバー以外から意見を聞くなどの協力を得やすかったことが、プロジェクト成功の大きな要因のひとつだった。

基礎検討が終了し、本格的な開発が始まると、それまでアドバイザーとして協力していた外販ASICの開発を担当する第二システムLSI事業部(当時)が、プロジェクトに正式に参加することとなる。さらに営業サイドもプロジェクトに参画してきた。「実際、ISSPに関連する販促のワーキンググループを立ち上げたときには、営業部門のメンバーが手弁当で参加してくれましたからね。彼らには、本当に感謝しています。」と、リーダーの前田直孝は語る。わずか数名でスタートしたプロジェクトが、この時点で社内でも有数の重要開発プロジェクトへと変貌を遂げたのであった。そして、プロジェクトへの協力者は、社内だけにとどまらない。2002年9月には、半導体の設計・検証を迅速かつ効果的に行うEDA (Electronic Design Automation) ツールのリーディング・プロバイダーであるSynplicity社とISSP設計用論理合成ツールの共同開発を開始。さらに、2003年1月には、Tera Systems社とISSP用RT (Register Transfer Level) 解析ツールの共同開発が開始された。

「外部パートナーともWin-Winの関係を築きながら、活動をより大きく展開していきたい。」という前田の"仲間作り"ポリシーは、開発面だけではない。ISSPの採用企業を増やすために、ベンチャーファンドのGlobal Catalyst Partners社とも協業し、新興企業へISSP製品の普及を図っている(図1)。


FPGAのNo.1設計ツールベンダー、Synplicity社

Synplicity, Inc. CTO Ken McElvain氏
Synplicity, Inc. CTO Ken McElvain氏
木本さん
基盤開発事業部
プロジェクトマネージャー 木本務
若松さん
シンプリシティ株式会社 マーケティング&ビジネス開発
マネージャー 若松康裕氏

前田が言う"仲間作り"の最も象徴的な例が、Synplicity社の創業者であり、CTOであるKen McElvain氏との出会いだろう。Synplicity社は、2001年のFPGA(Field Programmable Gate Arrays)論理合成ツール市場において54%のシェアを獲得しており、名実ともにこの分野のナンバーワン・ベンダーであった。普通ならば、FPGAのツールベンダーとしてトップシェアをもつ同社がISSP向けに論理合成ツールを開発することは考えにくい。しかし、現実は想像を超えることもある。幸運なことに、ISSPのアーキテクチャーに惚れ込んだKen氏が、自らNECエレクトロニクスに共同開発を申し込んできたのである。

当時、ISSP開発プロジェクトチームではすでに別会社の論理合成ツールを採用していることもあり、当初はKen氏の申し出にあまり乗り気ではなかった。しかし、Ken氏はあきらめることなく、なんと、休日も返上してほとんどひとりで論理合成ツールのプロトタイプを作り上げ、その優秀さを証明して見せてくれたのだ。「どうすればロジックをうまく構築できるか、最適化できるか。まるでパズルを解いているようで楽しかったよ。」と、Ken氏はこともなげに語る。

Ken氏が作った論理合成ツールのプロトタイプを見せられたプロジェクトメンバーは、圧倒された。「実際にプロトタイプを作って提案してくれたのには驚きました。これには説得力がありましたね。そればかりか、従来の論理合成ツールと比べてはるかに性能が良かったのです。」と、ISSPの設計環境開発を務めた基盤開発事業部の木本務は語る。この具体的な実証データ付の提案を受け、瞬く間に共同開発の契約が締結され、一気に開発が進むこととなった。その後、Synplicity社は日本法人のマーケティング&ビジネス開発担当マネージャーの若松康裕氏を窓口として、NECエレクトロニクスの設計基盤開発を担当する木本グループと密接な関係を築いていく。米国のSynplicity本社とも月数回の電話会議によって、問題点を共有。ISSP用論理合成ツールの開発は、急速に進んだ。「Kenのような、ある意味で損得なく技術で勝負してくれるCTOのいる会社とめぐり合えたことは、我々にとって本当に幸運だったと思います。彼らの身を粉にした協力には心から感謝しています。」と前田は言う。



| 1   2 |